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【ローリスクハイリターンがない理由】リスクのないリターンはない!投資のリスクプレミアムをわかりやすく解説




 

 皆さま、お疲れ様です!ぴの(ぴの @インデックス怪獣 (@indexpino) | Twitter)です🐤

 本日はリスクとリターンの関係について紹介いたします。今回の記事の中では、下記の問に対して回答を提供いたします。

なぜ株式は債券よりもリターンが高いのか

・ハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンはあるのに、どうして一般に「ローリスクハイリターン」はないのか

 これらの疑問に対する回答を得るためには、リスクプレミアムという概念が不可欠です。本日はこのリスクプレミアムの説明を行ったうえで、投資家が良く見たことあるリスクとリターンの関係を示す下図がどのように導かれるのか、紹介していきます。それにより、ローリスクハイリターンは存在しないことをご理解いただけると思います。(これを紹介してくる人はペテン師です!)

リスクとリターンの関係(預金、債券、株式、リート)

 

目次

 

リスクプレミアム

 大切な証券用語ですので、野村證券のWebサイトから引用いたします。

(リスクプレミアムとは、)証券の期待収益率と無リスク金利との差。
同じ投資期間内において、あるリスク資産の期待収益率が、無リスク資産の収益率を上回る幅のこと。
たとえていうならば、投資家が、株式という価格が変動するものに投資をするために、価格の変動しないものと比較をして、どのくらい見返りが大きければ、投資をする気になるのか、その度合いを表す

 少し硬い表現ですが、背景にある考え方は、「合理的な人であれば、リスクに見合うリターンが見込めないなら、危険なものは誰も持ちたくない」というものです。つまり、リスクプレミアムとは、リスクを引き受ける代わりに要求するリターンのことを指します。(※ここでいうリスクとはボラティリティ(値動きの度合い)や法的な拘束力など広義の危険性を意味します。)

 リスクとリターンは相関するという話をよく聞くと思いますが、これはリスクプレミアムの考えに則ったものであると言えます。

債券は預金よりもハイリターン

 始まりは、預けていて値動きが起こらない預金を基準に考えていきます。債券は預金と比較をすると、価格が動くため、安全性は少し下がります。そのため、そのリスクに見合ったリターンがないと債券に投資する人はいません。その具体的なリターンは債券の場合は利子がメインとなります。

リスクとリターンの関係(預金、債券)

 

 また、債券についても国(先進国や新興国)が発行するソブリン債会社が発行する社債など様々な種類があります。

 それらを比較をしていくと、国債は政府による担保があるため比較的安全な債券だと考えられる一方で、先進国と比較をすると新興国の国債は、特有の政治・経済の不安定さ(カントリーリスク)があるため、リスクは少し高いと言えます。そのため、新興国債には先進国債より高い利子が要求されます。実際に先進国債の利子はほとんど0%に近い一方で、新興国債の利子は近年の平均で6%あります。

 社債については政府の担保がない分、信用は低く、国債よりも一般にはハイリスクであると考えられます。そのため、そのリスクに見合う、より高いリターンが要求されます。なお、会社の信用格付けも重要で、格付けが悪い会社の社債ほど、高いリターンが要求されます。

リスクとリターンの関係(預金、先進国債、新興国債、ハイイールド社債)

株式は債券よりもハイリターン

  株式と債券の最大の違いは法的な拘束力があるかどうかです。株式の購入は企業の所有者になることを意味する一方で、債券の購入は企業にお金を貸すことを意味します。そのため、債券への投資は債務不履行(デフォルト)が起こらない限り元本が保証されます。一方で、株式は投資資金が満額返ってくるかは全く保証されません。つまり、債券は裁判所で強制的に執行できる”契約”である一方で、株式は保有者には何も約束はしません。

 また、有事の際の返金の優先順位も異なります。仮に投資先が破産した場合、残された資産は現金化され、債券は優先的に補償がされていく一方で、株式は完全に後回しにされます。

 これらの元本保証・返済優先度の違いから、株式は債券と比較をしてリスクが高い資産であると言えます。そして、リスクプレミアムの考えから、高いリスクである株式には債券よりも高いリターンが要求されます。なお、リートに関しても値動きが大きく、債券のような法的執行権が付随しないため、リスク・リターンともに株式同等であると考えられます。

リスクとリターンの関係(預金、先進国債、新興国債、ハイイールド社債、株式・リート)

 

 様々な資産が出てきましたが、すべての起点は預金からです。そこからどれほど自分の資産をリスクにさらすかによって、要求できるリターンの大きさも変化していきます。

ローリスクハイリターンはあり得ない

 リスクプレミアムの考えから、ローリスクの資産であれば、投資家はローリターンしか要求することができません。仮にローリスクハイリターンのうまい話が合ってもそれは確実に長続きするものではありません。次に例を示します。

 資産運用手法として、コインランドリー経営がローリスクハイリターンであったとしましょう。この時、初期の投資であれば文字通りのハイリターンが期待できますが、その噂が広まるにつれて、話に乗っかってくる投資家は増えます。その結果、コインランドリーは乱立されるようになり、一戸のコインランドリーから得られるリターンは低下します。結果的にはリスクに見合ったリターンになるまでコインランドリーは増設され、ローリスクハイリターンのうまい話はローリスクローリターンの普通の話へと変わってしまいます。

 この例で示しているのはリスクとリターンが釣り合っていない場合は、資金の流入が起こり、リターンが低下してしまうことを示しています。債券であれば値上がりにより利回りが低下すること。株式であれば、価格上昇により配当利回りが減少することや、将来の株価上昇余地が圧迫されてしまうことを示します。

 コインランドリーの話から、「初期のうまい話であれば乗っかるべきかもしれない」という誘惑に駆られるかもしれません。現実的に考えると、うまい話には乗るべきではありません。本当にローリスクハイリターンの話があるのであれば、こっそりと自分でそれを経営するのが一番儲かります。それをせずに、人にうまい話を持ち掛けるということは、、と考えると、その話が嘘であることは明らかです。

 

まとめ

 今回は、リスクがあるからリターンがあるというリスクプレミアムの考え方を紹介しました。そして預金、国債、社債、株式とリスクが高くなるにつれて、要求されるリターンが高くなることを紹介いたしました。また、リスクとリターンは相関する、という話もご理解いただけたのではないでしょうか。両者が相関するからこそ、ローリスクハイリターンだと言われる資産は嘘であるケースがほとんどであるため、投資する価値はありません。

 リスクプレミアムの考え方を知ることにより、リターンを得るためにどうすればよいのか、そして怪しい話に対してはどのように向き合うべきか、皆さまご自身の考えが深まれば幸いです。

 

鋼の錬金術師の名言のとおり、すべてのものは「等価交換」ということです。私はリスクプレミアムの概念に則り、「リターンが欲しいので、適切にリスクテイクをしていきます」

 

今回の記事が皆さまの良い投資につながりますように✨

 

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