Index Lab. インデックスラボ

現役研究者による、長期投資家のための情報サイト

【リスクはボラティリティだけで語れない】成功する投資家のリスク認識とそのコントロール方法




 

 皆さま、お疲れ様です!ぴの(ぴの @インデックス怪獣 (@indexpino) | Twitter)です🐤

 本日はリスクについて、多くの人が誤解しているであろう点を紹介させていただきます。

 リスクとは”危険”という意味であるため、直感で感じる点としては、リスクとは投資をすることにより生じる実害であるというイメージを持ちます。しかしながら金融商品に関して使われるハイリスクという言葉は、価格変動の度合い(ボラティリティ)が高いことを意味し、危険とは全く別の意味です。このように投資家の認識と証券会社の認識には乖離があります。

 私はリスクはボラティリティであるという証券用語の認識だけでは不十分であると考えます。私たちは投資を成功させるために、両者のリスクをしっかりと認識し、それをコントロールすることで初めて、長期で高いリターンを得ることができると言えます。

 

【結論】

・①直感で感じるリスク:投資により実際に損失を受けること

・②証券用語のリスク:価格変動の度合い

・投資家は①のリスクを十分に回避したうえで、②のリスクを活かしてリターンを獲得すべき

・長期インデックス投資が容易に実行できる最善策

 

目次

  

投資の際に気にするリスク

 リスクとは文字通りに受け止めれば、危険という意味であると思います。投資をする際に気にすべき危険性とは大きく分けると、①投資により損失を受けること②平均株価指数よりも自身の投資パフォーマンスが劣ってしまうこと、ではないでしょうか。

 

投資のリスクは、実際に損失を受けることと、インデックスよりもパフォーマンスが劣ること

 より具体的にこの危険性を落とし込むと、想定されるパターンは3つあります。

 一つ目は自身が選定して投資をしている会社の経営が傾き、経営破綻することです。この場合、起こる確率は低いですが、投資した資金は0になりますので、影響力が大きく無視できないリスクであると言えます。

 二つ目は経営破綻までは陥らないが、株価の下落が止まらず、元本割れが常態化することです。これは経営破綻ほどの大きな損害は与えないしても、頻繁に起こることなので、投資家は大きな危険性だと解釈できます。

 三つ目は見過ごされやすい点であると思います。これは、自身の投資判断により、リターンは出ている一方で、その程度は日経平均やS&P500などのインデックス指数よりも劣ってしまうことです。このケースでは、インデックス運用で得られたはずのリターンを、自身の判断により取り逃していること(機会損失)を意味します。このケースはとてもよくあることではないでしょうか。

 例を挙げていくつかのケースで説明しましたが、まとめると、多くの投資家が投資に対して感じる「危険性」という意味でのリスクは、自分自身の実際の損失(資金的な損失と機会損失)であると言えます。

 

証券用語のリスク

 証券用語のリスクについて知るために、SMBCのサイトよりボラティリティの定義を引用いたします。

ボラティリティー(Volatility)とは、一般的に価格変動の度合いを示す言葉で、「ボラティリティーが大きい」という場合は、その商品の価格変動が大きいことを意味し、「ボラティリティーが小さい」という場合は、その商品の価格変動が小さいことを意味します。
現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティーを標準偏差で数値化し、それをその商品のリスクの度合いとして捉えるのが一般的です。そのため、ボラティリティーが大きい商品はリスクが高くボラティリティーが小さい商品はリスクが低いと判断されるのが通常です。

 つまり証券用語でリスクとは、その資産の値動き度合いであると定義されています。イメージをしやすくするため、下にイラストを載せます。

 

証券用語のリスク:ボラティリティ(価格変動の度合い・分散)

 低リスク資産とは、左に示したような価格の値動きが小さな資産を意味する一方で、高リスク資産とは、右に示したように価格変動が大きい資産を意味します。

 つまり高リスク資産だからと言って、損失が起こりやすいという意味では全くないため、証券用語のリスクは危険とは全く異なる意味であることを理解する必要があります。 

 

投資家は二つのリスクを正しく認識すべき

 証券用語のリスク(ボラティリティ)と投資に対して感じるリスク(実際の損失)、その両者は一致してはいません。投資家はリスクをどのようにとらえるべきでしょうか。

 

証券用語のリスク(ボラティリティ)と、投資に対して感じるリスク(実際の損失)

 

まずは損失に対して保守的にとらえるべき

 私たちが直感で感じるリスクは極めて重要です。いくつか記事では「リスクはボラティリティのことです!危険性ではありません!」といった半ば証券用語の押しつけのような表現を目にすることがあります。しかし、この主張は明らかに間違っています。

 「リスク」という言葉を出されたとき、ほぼすべての人は真っ先に「危険・脅威」という意味を即座に連想すると思います。いの一番に「ボラティリティ」という意味を連想する人はおそらく皆無です。投資家はこの直感に正直にあるべきだと思います。つまり、私たち投資家が最も気にすべきリスクは、上図の右側、その投資判断により生じる実際の損失であると考えるべきです。

 投資先の銘柄がどのような値動きをするか予測することはプロでも極めて困難です。予測不能な破産リスクや常態化する元本割れリスクも銘柄によってはあり得ます。

 しかし、市場全体の平均を見てみると、それらの損失を加味してもあまりある、十分なリターンをマーケットはもたらしてくれることを歴史は示しています。つまり、成功する投資家に不可欠な要素は市場平均に近づくべく、十分な分散投資を行うことであると言えます。

 

適切なリスクテイクがハイリターンをもたらす

 証券用語のリスク(ボラティリティ)はいわばリターンを得るための手段です。ボラティリティとリターンは相関することが知られています。債券と株式を比較すると、債券はボラティリティもリターンも低い一方で、株式はボラティリティもリターンも高いです。

 株式がハイリスクというのは「株式は価格変動が大きい」という意味であり、そのために、一時的な損失を受けることがあるという事実は認識しておくべきです。しかし、十分に分散された投資であれば、この損失からは時間とともに回復できます。むしろ長期投資であれば、株式投資のメリットである高いリターンの恩恵に授かることができます。

 まとめると、株式はハイリスクと言われますが、「実際の損失を与えやすい」という意味では全くありません。株式の長期分散投資であれば、損失は一時的で、むしろハイリターンを見込める有望な投資対象であることを認識しておくことは、成功する投資家には不可欠です。

 

インデックス運用の勧め

 2つのリスクの違い(損失とボラティリティ)を知ったうえで、インデックス×ドルコスト運用が極めて有用な戦略であることに気が付くと思います。

・損失リスクの観点

 インデックス運用では極めて広く分散をしているため、投資家が気にすべきリスク(損失)である、破産はあり得ませんし、平均指数に負けることもありません(常に引き分けますので)。また、ドルコスト運用を行えば、元本割れが常態化する可能性も無視できるほど小さくなります。

・ボラティリティリスクの観点

 株式はハイリスク・ハイリターンです。つまり、株式のインデックス資産を投資対象に選択することにより、一時的な値動きで元本割れのリスクはありますが、長期では高いリターンを得ることができます。

・総合的な判断

 上記を総合すると、株式インデックス×ドルコスト運用は、損失リスクを起こしにくく、利益を大きくもたらすため、ローリスクハイリターンであると言えるのではないでしょうか。

 まとめ

 今回は投資家が気にするリスク(実際の損失)と、証券用語のリスク(ボラティリティ)の2つのワードの違いを紹介しました。そして、その両者のリスクをコントロールすることが投資を成功させるために不可欠であることを説明いたしました。

 また、誰でも容易に両者のリスクを管理する手法の一つとして、インデックス×ドルコスト運用が極めて有効であることを紹介いたしました。

 今回の記事が皆さまの良い投資につながれば嬉しく思います!

 

■■■■■■■■■■■■■■■■

Index Pino  ぴの @インデックス怪獣 (@indexpino) | Twitter

ブログ村に参加しております!ぽちっと1票いただけるととても嬉しいです🐤

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 投資ブログへ

投資はご自身のご決断で!

■■■■■■■■■■■■■■■■