【徹底調査】金利上昇局面で値上がりが見込める3つの株式セクター
「金利上昇局面において、有利なセクターと不利なセクターがあります!」
※本記事はイラストだけの流し見で理解できる構成となっております。
金利上昇局面では、株式資産価格は大きく変動することが知られています。
株式投資と一言でくくっても、その投資リターンはセクター(業種)ごとに大きく異なります。
では金利が上昇するタイミングで、有利になるセクターはどれなのでしょうか。
今回はこの答えを得るために、①米国債の値動きと②S&P500および各セクターの株価変動の関係について、21年分のデータを解析を行いました。
その結果、金利上昇局面で有利なセクター・不利なセクターが明らかになりましたので、本記事でまとめました。
実際のデータを示しながらイラストで紹介していきます。
※そもそも金利が上昇するタイミングで株式投資をして大丈夫なのかは以下の記事で検証をしています。
【データ有】金利上昇局面でも株式投資を続けるべきである理由 - Index Lab. インデックスラボ
目次
過去のチャートから債券利回り上昇局面を抽出
本記事では、米国債10年ものの利回りデータと各セクターごとの株価データを用いて、下記のプロセスでデータ解析を行いました。
1,米国10年債の利回り推移から変化率を計算
2,利回りが上昇した月Top30を抽出
3,それらの月における株価変動を計算
これらの解析を通して、利回りが上昇したタイミングにおける株価動向を明らかにしてきます。
米国10年債の利回り長期推移
下に示したものは20世紀に入ってからの米国10年債の利回り推移です。
長期の傾向としては、右肩下がりの傾向がありますが、短期的な変化を見てみると、利回りが上昇している局面もあることが分かります。
次にこのチャートデータから、月ごとの債券利回り変化率を計算します。
米国債の利回り変化率と上昇率Top30の月
債券利回りの変化率は、毎月の最初の利回りを前月の利回りと比較することにより、月ごとの変化率を計算いたしました。
2000年からの債券利回りの変化率は下記の通りです。
この図の中では260か月分のデータを示していますが、その中で利回り上昇率Top30になった月を抽出した結果が上図右側の表です。
これらの月では一か月の間で9.52%以上、債券利回りが上昇した月となっております。
それでは、このような利回り上昇が起こった月では、セクターごとの株式投資リターンはどのようになっているのでしょうか。以下で分析をしていきます。
債券利回り上昇局面におけるセクター別リターン
利回りが上昇した月における、セクターごとのパフォーマンスを見るうえで、以下の二つの視点から考察を行いました。
1,平均値:セクターごとの平均リターン
2,再現性:セクターごとのS&P500に対する勝率
※セクターごとの株価については、長期の実績のあるステート・ストリート State Street Global Advisorsのセクター型ETFからデータを引用しております。
セクターごとの平均リターン
初めに利回り上昇月における、セクターごとの平均リターンを計算したものが下の図です。
S&P500の投資リターンは平均して月利2.6%である一方で、セクターごとに見ていくと平均リターンは大きく異なることが分かります。
特に金融セクター・エネルギーセクターでは、平均リターンはそれぞれ4.4%、4.0%となっており、S&P500をアウトパフォームしていることが分かります。
一方で、生活必需品セクター・公益事業セクターでは、平均リターンがそれぞれ0.78%、0.61%となっており、投資リターンはS&P500と比較をして見劣りする結果となっておりました。
その他の資産についてはおおむねS&P500と同等のパフォーマンスを示しておりました。
以上から平均リターンで比較をすると、金利上昇局面では金融セクター・エネルギーセクターに投資をすることが好ましいことが、ここ21年の傾向であると明らかになりました。
次に注目すべきは、実際にS&P500に対して勝利する確率はどの程度なのか、それぞれのセクターごとの勝率です。
こちらについて、以下で解析を行いました。
S&P500をアウトパフォームしたセクターとその勝率
こちらでは金利上昇局面の月Top30を抽出したのち、セクターごとに同じ月のS&P500のリターンをアウトパフォームしたかどうかを判断し、セクターごとの勝率を計算しました。
結果が以下の図です。
見ていただくと、金融セクター・一般消費財セクターではそれぞれ73.3%、63.3%の確率でS&P500をアウトパフォームしていました。
つまり金融セクターは利回りが上昇した30か月のうち、22か月はS&P500よりも高いリターンをもたらしていたことが明らかとなりました。
金融セクターは、先の平均リターンの計算結果も良好なパフォーマンスを示していましたので、金利上昇局面では好ましい投資先であると判断できます。
一方で、生活必需品セクター・公益事業セクターでは、S&P500をアウトパフォームした月の割合は23.3%、33.3%となっていました。
生活必需品・公益事業セクターについては、ここ20年の金利上昇局面では他の株式セクターよりも不利になっている傾向があり、避けるのが賢明であると言えます。
最後に今回の検証をまとめつつ、解析結果を一覧でまとめた表を紹介いたします。
まとめ
今回は過去21年分のデータを解析し、債券利回りが上昇する局面における、セクター間パフォーマンスを比較しました。
データ解析の結果明らかとなった、セクターごとの平均リターンと、セクターごとのS&P500に対する勝率を以下の表にまとめました。
ここ21年の傾向から見ると、金利が上昇するタイミングでは金融セクターがリターン・勝率ともに期待できるパフォーマンスをもたらすと推測できます。
また、一般消費材セクター・エネルギーセクターについてもある程度のリターンが見込めると判断できます。
最後に注意事項です。
上記のデータはあくまでも過去のモノであり、それは将来のリターンを保証するものではありません。
投資に絶対はないからこそ、長期・分散投資を心がけながら慎重に資産を運用いただくのが理想であると考えます。
本記事が皆さまの良い投資に繋がりますように!
※以下に参考文献を紹介いたします。
【参考文献】
「"金利が上昇し、株価は下落"、こんなニュースをたまに聞くが、金利が上昇するタイミングで株式投資をしても本当に大丈夫なのか?」
この疑問について、以下の記事で検証を行っています。
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