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【岸田対策!】金融所得の増税に対して、初心者投資家ができる2つの対策




 

「金融課税に対して、投資家はどのような対策を打つべきでしょうか?」

 

岸田内閣が提案している、金融所得の増税案が話題です。

金融課税の増税は、投資リターンを直接的に減少させますが、この増税に対して、投資家が打つべき対策としては何があるのでしょうか。

今回は金融課税増税に対して、初心者投資家でもできる対策を二つ紹介いたします。

 

 

【岸田対策!】金融課税増税に対して、初心者投資家ができる2つの対策

 

 

岸田内閣の金融所得増税案の概要

ブルームバーグの記事によると、「株式譲渡益や配当金など金融所得への課税について、現行の一律20%(所得税15%、住民税5%)から25%程度への引き上げが適当だとの考えを示した。」とのことです。

つまりキャピタルゲイン(値上がり益)、インカムゲイン(配当益)いずれに対しても現行の20%から25%へと増税することを計画しています。

増税により、投資家が受けられるリターンは減少しますが、この影響を緩和させる手立てはあります。

それが①投資信託の活用と、②バイホールド戦略の活用です。

以下で詳細を見ていきます。

 

※引用元

金融所得課税、20%から25%へ増税でも市場害さず-岸田派・山本氏 - Bloomberg

 

 

 

 

対策①:投資信託の活用

投資信託には分配金が出るものと、出ないものの二つのタイプがあります。

増税対策として有効なファンドは、このうちの分配金が出ないタイプの投資信託です。

 

 

分配金の有無による配当課税の違い

「分配金なし」と「分配金あり(再投資)」の投資信託の配当金に対する課税の違いを下の図で示しています。

ここで大切な点は、配当金に対して課税が行われるタイミングは”個人”が配当金を受け取るタイミングです。

 

投資信託の分配金なしと、分配金ありの配当金課税の違い

 

①分配金なしの投資信託については、投資先の企業からの配当金は、投資信託のファンド内で再投資に回されます。

この時、投資家個人には収益が回ってこないため、非課税のまま再投資が行われます。

 

②分配金あり(再投資)の投資信託については、企業からの配当金は個人投資家に分配金として拠出されるために、課税が行われます。

そのため、再投資する際には、税引き後の目減りした収益を再投資することになります。

 

このため課税を考慮すると、分配金なしの投資信託を活用することが好ましいです。

そして重要な点は、分配金なしの投資信託の優位性は、税率が上がるほど高くなるという点です。

 

 

税率が上がるほど、分配金なし投信は有利

下の図では税率20%、分配益5%で考えた時の分配なし投信と分配金あり(再投資)投信のパフォーマンスを比較したものです。

 

分配金なしと分配金ありの投資信託の長期投資パフォーマンス比較


運用期間が長期になるほど、分配金なしの投資信託の方がリターンが高くなることがお判りいただけます。

 

次に、税率を20%と25%としたときの、リターン差(分配金なしー分配金あり)に関して検証を行いました。

 

増税が行われたときの、分配金なしと分配金あり投信のパフォーマンス比較

 

見ていただくと、税率20%と比較して、25%に上昇した場合、分配金なしと分配金ありの投資信託のパフォーマンス差が大きくなっていることが分かります。

つまり、税率が上昇するほど、分配金なしの投資信託は有利になると言えます。

 

もしも金融所得に対する増税が現実のものとなるなら、ETFや分配金ありの投資信託よりも、分配金がないタイプの投資信託を選択することが節税に繋がると言えます。

 

※投資信託の分配金の有無がパフォーマンスに影響を与えることに関して、以下の記事ではイラストで解説を行っております。

【図解】【分配金再投資vs分配金なし】課税を考慮した時、リターン(複利効果)が高い投信はどちらか - Index Lab. インデックスラボ

 

 

 

 

対策②:バイホールド戦略の活用

分配金なしの投資信託の活用に加えて、もう一つ現実的な対策があります。

それが、一度買った銘柄を超長期で保有する、バイホールド戦略の活用です。

 

投資益の課税のタイミングは利益を確定した時です。

つまり、頻繁に売買して、利益確定をしている人はそのたびに、納税を行っていることになります。

このようなケースでは、納税を行った分その後の運用資金は減少し、長期投資のリターンが減少する結果となります。

一方で、バイホールド戦略では利益確定をしないために、課税を遅らせることができ、より大きな資金を運用に回し続けることができます。

つまり、課税を加味すると、頻繁な売買は好ましくなく、買った銘柄をそのまま放置するバイホールド戦略の方が良いケースが多いと言えます。

 

もしも金融所得に対する増税が実現すれば、細かく売買する戦略は更に不利になります。

そのため、増税の影響を最小限にするためには、可能な限り利益確定を先送りし、運用資金を増やすバイホールド戦略が有効な手立てとなると言えます。

 

 

※バイホールド戦略の有効性と、その実際の効果シミュレーションについて、以下の記事で紹介しております。

【初心者】バイホールド戦略、株を売らないことが投資リターンを高める理由 - Index Lab. インデックスラボ

 

 

 

 

まとめ

金融所得の増税が行われる時、個人投資家としてできるポイントとして、以下の2点を紹介しました。

①分配金なしの投資信託の活用

②バイホールド戦略の活用

これらを活用することにより、インカムゲイン・キャピタルゲイン、どちらに対しても節税することが可能です。

上記2点を踏まえて、具体的な戦略としては、分配金がない投資信託に愚直に長期投資をしていくことが大切であると著者は考えます。

 

投資環境は常に一定ではなく、時代に応じて変化していきます。

投資家に求められるのは、各時代環境に合わせて、最善の選択を行っていくことだと思います。

関連して、最後にアメリカの心理学者ラインホールドニーバーの有名なフレーズを紹介します。

 

神よ変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。

 

本記事が皆さまの良い投資に繋がりますように。

 

参考文献

・分配金の有無による投資信託のパフォーマンスを比較し、その差が生じる理由についてイラストで解説。

 

・バイホールド戦略が有効である理由を解説。投資リターン・運用期間ごとに比較検証し、バイホールド戦略の効果を検討しました。

 

 

 

 

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