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【初心者】バイホールド戦略、株を売らないことが投資リターンを高める理由




 

ご存じでしょうか、

「利益確定をしないだけで、長期投資のパフォーマンスは向上します。」

 

投資戦略を練る中で多くの人が悩むところが、利益確定のタイミングです。

短期投資家にとっては、値上がりしたタイミングで細かく利益確定をしていくことは大切です。

一方で、長期投資家にとっては、このような投資戦略は好ましくはありません。

それは、細かく利益確定をすることで、ご自身の投資リターンが減少してしまうことがあるためです。

今回は長期投資家向けに、利益確定をしない戦略であるバイホールド戦略のメリットについて、ご紹介いたします。

 

目次

 

【初心者】バイホールド戦略、株を売らないことが投資リターンを向上させる理由

 

 

利益確定をすることで投資リターンが減少する理由

細かく利益確定をすることでパフォーマンスが低下する、その理由は課税制度にあります。

投資家が税金を納めるタイミングは、①配当をもらう時と、②保有資産を売却し利益確定を行う時です。

 

細かく利益確定をする戦略をとると、その都度課税が行われてしまうために、運用資金が削られてしまいます。

その結果、複利の効果が減少し、投資リターンは低下してしまします。

一方で、バイホールド戦略では利益確定を最後のタイミングまで遅らせるために、投資期間中に運用資金が削られることはありません。

そのためにより多くの資金を運用に回せるために、パフォーマンスが向上します。

 

バイホールド戦略等により課税を遅らせることは課税の繰り延べと呼ばれています。

課税の繰り延べにより、投資リターンが増加するケースが多いため、長期で資産を築くうえでは常に課税を遅らせることを意識しておく必要があります。

 

そこで、以下の章では、実際に①細かく利益確定をする戦略②バイホールド戦略を比較した時、どれほどのパフォーマンス差が出るのか、期待リターンや運用期間別に紹介していきます。

課税繰り延べ効果の実際のイメージを掴んでいただければ幸いです。

 

※なぜ課税を遅らせることでパフォーマンスに差が出るのか、イメージがわかない場合は、以下のリンクでも関連内容をイラストで紹介していますので、ご確認ください。

下の記事は本記事後半でも、改めて紹介いたします。

 

 

 

 

実際のリターンシミュレーション

バイホールド戦略と、毎年利益確定を行う戦略の二つを比較した時にどれほどのパフォーマンス差が生じるのか、実際にシミュレーションを行いました。

 

バイホールド戦略と毎年利益確定戦略のリターン差

下の図では年利5%の資産に10000円を投資したときの、バイホールド戦略と毎年利益確定戦略をとった場合の投資パフォーマンスの比較を行っています。

 

バイホールド戦略によるパフォーマンスの向上

 

シミュレーションは、下記のように行っております。

・バイホールド戦略では最初に株を買ってから、目標としていた運用期間までホールドし、最後に売却をして利益の20%の税金を納めることを想定します。

・毎年利益確定戦略では、毎年利益確定を行い利益の20%の税金を納めながら、目標としていた運用期間まで運用をしていくことを想定します。

 

1年目についてみてみますと、当然バイホールド戦略と毎年利益確定戦略の間ではパフォーマンス差はありません。

一方で20年目で比較をおこなってみますと、運用後の資産は、バイホールド戦略:23226円、毎年利益確定戦略:21911円で、バイホールド戦略の方が1315円(元本の13%以上)リターンが高くなっています。

これはバイホールド戦略では、課税の繰り延べの結果、毎年利確戦略よりも高い複利効果が得られたためです。

この結果から、長期投資をする場合には、細かく利益確定はせずにバイホールドすることが大切であることが分かります。

 

次に、期待リターンを変えてみた時に、両戦略の差がどのようになるのか、比較を行いました。

 

 

期待リターンごとのリターン比較

先ほどは年利5%を仮定して比較を行いましたが、下の図では年利2%、5%、10%でそれぞれシミュレーションをした結果を示しています。

 

ハイリターン資産ほどバイホールド戦略が有効

 

年利2%の場合はバイホールド戦略と毎年利確戦略では大きなパフォーマンス差は認められません。

しかし、年利10%の場合には、年利5%の時以上に、バイホールド戦略と毎年利確戦略の間で差が生じることがお判りいただけます。

そして、両者の差は運用期間が長くなるほど、指数的に大きくなることもこの図から見て取れます。

このことから、高利回りの資産クラス(株式や不動産)に長期で投資をする場合には、バイホールド戦略が特に有効であることが分かります。

 

最後に運用年数ごとにパフォーマンス差を計算しましたので、紹介いたします。

 

 

運用年数ごとのパフォーマンス差

下の図では、期待利回りごとに、バイホールド戦略から毎年利確戦略を引いたパフォーマンス差を比較しました。

 

長期で運用するほど、バイホールド戦略は有効

 

上の図から、利回りが高い資産ほど、そして運用期間が長期になるほど、バイホールド戦略が有利になることが分かります。

利回り10%の資産に投資をした場合、20年後の運用差は10000円となっており、元本と同額の差が、運用戦略によって生まれることが分かります。

もしも100万円を運用していたら、その差は100万円となりますので、決して無視できない差であると言えます。

また、その差は指数的に高まっていきますので、それ以上の期間を運用する場合には差はもっと大きくなります。

以上のシミュレーションから、長期投資におけるバイホールド戦略の有効性が示唆されます。

 

 

あえて何もしないことが最高の戦略になりうる

投資のリターンを高めるために、様々な銘柄を売り買いしていく投資家はとても多いです。

しかしながら、税金の影響を考えると、このような細かく売買を繰り返すこと自体が、パフォーマンスの低下に直結してしまうという事実には常に注意していく必要があります。

「広く分散されたインデックスファンドを買ったら、あとは何もしない!」というバイホールド戦略は、楽なうえに、実はとても理にかなった戦略であると言えます。

 

 

投資信託の分配金においても課税の繰り延べは大切

本記事ではキャピタルゲイン(値上がり益)のみに着目してきましたが、インカムゲイン(配当益)についても課税の繰り延べが可能です。

投資信託では分配金を出すファンドと出さないファンドがありますが、他の条件が同じ場合、分配金を出さないファンドの方が課税の繰り延べができるためにパフォーマンスが高くなります。

以前の記事で、イラストを用いて分配金再投資ファンドと分配金なしファンドの比較を行っておりますので、よろしければご参考にしてください。

 

キャピタルゲインでも、インカムゲインでも、課税のタイミングを可能な限り遅らせるという基本戦略が有効に働くことは、長期投資家として知っておくべき事実であると言えます。

 

 

 

 

まとめ

本記事ではバイホールド戦略が長期投資において、とても有効な戦略であることを紹介いたしました。

ベースとなる考えは、可能な限り課税を先送りすることにより、運用資金を最大限確保し、投資リターンを高めるという概念です。

そしてバイホールド戦略は、①高リターンの資産に投資をするとき、②長期投資をするとき、特に効果的であることを紹介いたしました。

 

「買った資産は動かさない」という、一見すると手抜きに見えるような楽な資産管理が、頑張って売買を繰り返す運用戦術よりも高いリターンをもたらすという事実は、知っておいて損がないと言えます。

 

本記事が皆さまの良い投資に繋がりますように。

 

 

 

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