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【図解】【分配金再投資vs分配金なし】課税を考慮した時、リターン(複利効果)が高い投信はどちらか




 

 皆さま、お疲れ様です!ぴの(ぴの @インデックス怪獣 (@indexpino) | Twitter)です🐤

 投資信託には「分配金があるもの」と「分配金がないもの」の2種類があります(両者の違いは本文でイラストで解説します!)。他の条件が同じであるとき、分配金なしの投信の方がリターンが高いことが知られています。これは毎回の分配金が課税されてしまうため、複利の効果が低下し、パフォーマンスが低下してしまうためであると言われています。そのため、分配金なしの投信を活用して、売却の時まで課税のタイミングを後回しにした方がハイリターンをもたらします。ここで疑問に思うかもしれません。

「結局は獲得した利益全てに対して税金がかかるため、細かく課税されようが、最後に課税されようが変わらないのではないのか?」

 今回はなぜ分配金なしの投信の方が良いのかについて、イラストを用いて説明します。分配金を出すことによる課税が、複利効果を低下させ、最終的なリターン低下につながる理由についてもイメージをつかめれば嬉しく思います!

 

結論

・分配金なしの方が、再投資型よりもハイリターン

・パフォーマンス差の原因は課税による複利効果の変化

・分配金の有無が与える影響は長期投資ほど大きい

・投信比較では、分配金よりも実際の中身にフォーカス

 

目次

 

 

 

”分配金なし”と”分配金あり”の配当金課税の違い

 初めに「分配金なし」と「分配金あり(再投資)」の違いについて解説いたします。

分配金なしと分配金あり(分配金再投資)の課税の違い

 

 前提として知っておくべき点ですが、分配金に対する課税は投資信託から個人に利益が還元される時に課税されます。両者の投信を比較すると以下のようになります。

 

■分配金なしのケース

①投資信託が投資をしている企業からの配当金は、投信ファンドに渡されます。②投信ファンドはその配当金は投資家には渡さずに、そのままファンド内で企業に対して再投資に使われます。そのため、非課税のまま企業からの配当金を再投資できます。

■分配金あり(再投資)のケース

①上の例と同様に、企業からの配当金は投信ファンドにまず渡されます。②投信ファンドはその配当金を分配金として投資家個人に還元します。このタイミングで分配金に対して課税が行われます。③投資家は課税後の分配金を投資信託に再投資します。④再投資された資金は、投信ファンドから企業に対して再投資が行われます。

 以上の違いから、分配金なしの場合には、企業からの配当金を非課税で再投資できる一方で、分配金あり(再投資)の場合には、課税後の配当金を再投資することになります。

 

 (私が始めたばっかりの時にそうであったように、)誤解される方も多いですが、投資信託の購入の際に分配金コース選択時に、”再投資型””受け取り型”を選ぶと思いますが、このコースはいずれを選んでも分配金には課税が行われます。これは再投資型を選んだとしても場合、配当金の流れは企業→投信→(投資家)→投信→企業となるうちの、投資家が再投資するプロセスが自動的に行われるだけであるためです。

 「分配金を出している以上、個人投資家の収益と認められるため、課税される」という点は下の図と合わせて認識しておく必要があります。

 

分配金あり投信の場合、分配金コース選択は”受け取り型”と”再投資型”、いずれも非課税にはならない

 

 

 

”分配金なし”と”分配金あり(再投資)”の比較

 ①分配金なしの投信と、②分配金あり(再投資)の投信、どちらが得をするのでしょうか。簡単なケースから見ていきたいと思います。

 下のケースでは、初期資金10000円を利回り5%の資産に投資をしたケースを考えています。税金は日本の税率に合わせて、20%で計算しています。

分配金なしと分配金再投資、税金を加味するとどちらが得か

  ①分配金なしのケースでは、1年に1回5%ずつ資産が増えます。初年度は5%(500円)の分配金を取得し、次の年には10500円の5%(525円)の分配金を取得します。その結果、投信資産は11025円となり、20%の税金を納めた結果、資産は10820円となります。

 ②分配金あり(再投資)のケースでも同様に、1年に1回5%(500円)の分配金を取得します。分配金の受け取りのタイミングで20%の税金を納めるため、手元には400円が残り、これを再投資します。次の年には10400円の5%(520円)の分配金を受け取り、課税されたのち、416円を取得します。その結果、資産は10816円となります。

 ①と②のケースを見た時に、確かに従来言われている通り、分配金がないケースの方が得をしていることがお判りいただけます。

 なぜ差が生じるのか。その原因を理解するために、分配金と税金の様子について、細かく見ていきたいと思います。

 

 

分配金の有無が資産変化に与える影響

ケース①:分配金なし

 初めに分配金なしの投信に投資をした場合の資産変化の様子を示します。

分配金なしの場合の資産変化の様子

 上の図では、黄色は未課税の資産で、黒字は元本あるいは課税済みの資産を示しています。

 最初の分配金のタイミングでは元本10000円に対して分配金を獲得し、5%分の500円資産が増えます。

 そして、次の分配のタイミングでは元本に対する分配金(500円)に加えて、最初の分配のタイミングで獲得した500円に対する分配金(25円)も獲得することができます。

 最終的に手元に資産を移す際に、黄色で示した未課税の資産に対して20%の税金がとられた結果、手元資産は10820円(= 400 + 10000 + 400 + 20) となります。

 

ケース②:分配金あり(再投資)

 次に分配金があるケースを見ていきたいと思います。

分配金あり(再投資)の場合の資産変化の様子

  最初の分配金のタイミングでは、元本に対して5%の分配金(500円)を獲得します。この時、受け取りのタイミングで20%分の税金がとられるため、手元に残る400円を再投資に回します。(この400円は課税済みなので元本と同じ扱いで黒色で示せます。)

 そして、次の分配のタイミングでは、もともとの元本(10000円)に対する分配金(500円)に加えて、再投資資金(400円)に対する分配金(20円)も獲得することができます。両者の分配金を受け取るタイミングで課税されるため、手元に残る分配金は400円と16円となります。

 トータルで手元に残る資金は10816円(= 400 + 10000 + 400 + 16)となります。分配金なしコースと比較をして、分配金再投資コースではリターンが低くなっています。

 

 

 

分配金再投資よりも”分配金なし”の方が良い

 資産増加の詳細なプロセスが見えてきたと思いますので、次に分配金なしと分配金再投資の両者を直接比較していきます。

 

分配金再投資よりも分配金なしの方が資産が増える理由(複利の効果)

  左は分配金がないケースを示しており、右は分配金を再投資するケースを示しています。

 両者を比較すると、元本の10000円から生じる分配金には差がない一方で、青丸で囲っている分配金から生じる分配金(複利の効果)が低下してしまっていることが分かると思います。つまり差が出るポイントは、早いタイミングで課税されることにより、その後の将来的な分配金が減少してしまう点であると言えます。

 分配金のない投信が良いというのは、課税を後回しにすることにより、課税前の大きな資産に対して分配金を獲得できるためであると言えます。これにより、高い複利の効果を受けることができると言えます。

 

 

”分配金再投資”と”分配金なし”のリターンの違い

 上のケースから、分配金がないケースの方が良いことがご理解いただけたと思います。一方で、分配金なしと分配金あり(再投資)の間の差はたったの4円、と思うとあまり重要ではないかと感じると思います。

 一方で長期で運用をする場合には、分配金の有無が与える影響は大きくなります。下のケースでは、分配金が5%の資産に投資をした際に、分配金なしと分配金再投資のパフォーマンスの差を示しています。いずれも納税後の資産を示しています。

長期投資ほど、分配金再投資よりも分配金なしの方が有利になる

 投資期間が10年の場合には10000円の元本は、課税後資産は分配金なし:1441円、分配金再投資:14233円となり、その差は178円です。

 一方で、投資期間が50年の場合には、課税後資産で分配金なし:89370円、分配金再投資:68333円となり、その差は21037円となります。

 長期で運用すればするほど差が大きくなることがお判りいただけると思います。この原因は、早いタイミングで課税されてしまうために、その後の分配金の伸びが悪くなってしまう。つまり複利の効果が低下してしまうためであると言えます。

 他の条件が同じ場合には、分配金再投資よりも分配金なしの投信を選ぶ方がハイリターンであると言えます。

 

 

注目すべきは分配金よりも、投信の中身

 上の例では極端な50年という運用期間を設定しましたが、運用期間がそこまで長くない場合には、分配金再投資のコースを選んだ方が良い場合もあります。

 実際に投資対象の候補として、”分配金がある投信①”と”分配金がない投信②”が挙がっているとしましょう。この両者を比較する際に、最も着目すべきは分配金の扱いではなく、投信の中身そのものであると言えます。

 分配金なしの方がリターンが高い傾向はありますが、それは他の条件が同じであると仮定したときです。経費率投資対象などを加味した際に、明らかに”分配金がある投信①”の方がが優れた商品である場合には、分配金の扱いを無視して、投信①を選ぶ方が良いと思います。分配金の有無が与える差は、投信の質が与える差よりもわずかなものである場合が多いと思います。 

 

 

まとめ

 投信は分配金があるものよりも、ないものを選んだ方が良いと言われています。今回は、分配金の有無が投信パフォーマンスに影響を与える原因が、早いタイミングの課税が複利の効果を低下させてしまうためであることを紹介いたしました。

 この影響は長期運用ほど顕著な差をもたらすために、長期投資家は分配金なしの投信を選択するほうが良いケースが多いと言えます。一方で、投信を実際に選ぶ際には分配金コースよりも、経費率や実際の投資対象など、投信の中身の方が重要であるというのは忘れてはいけないと思います。

 

 今回の記事が皆さまの良い資産運用に繋がりますように!

 

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