【ETF vs. 投信】徹底比較、おすすめ米国高配当 (VYM、楽天米国高配当、SBI・V):経費、課税、為替・売買コストを考慮!
「楽天米国高配当やSBI・V・米国高配当株式は、VYM(米国高配当株式)に投資をする投資信託ですが、①これらの投資信託に投資をするのと、②VYMに直接投資をするの、どちらがリターンが高いのでしょうか?」
「本記事では経費や税金を加味したうえで、得をする銘柄はどれか、徹底的に比較いたします!」
※本記事はイラストだけの流し読みでも分かる内容となっています。
皆さま、お疲れ様です!ぴの(ぴの 【公式】@インデックス怪獣 (@indexpino) | Twitter)です。
バンガード米国高配当株式ETF(VYM)は日本の投資家から高い人気を誇るETFです。
VYMに直接投資をすることで買い付けることもできますが、楽天米国高配当株式やSBI・V・米国高配当株式といった投資信託を通して投資をすることも可能です。
ETFに投資をするか、投資信託に投資をするかでは、①経費率、②為替コスト、③売買コスト、④配当金課税が異なります。
本記事ではこれらすべてのコストを加味した際に高いパフォーマンスを出すのはどの銘柄なのかについて、徹底的に検証いたします。
※本記事は2021年6月時点で、著者の知りうる最大限を反映したつもりですが仮定も含みます。本記事は特定の資産の購入を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身でお願いいたします。
目次
- VYMと楽天米国高配当、SBI・V・米国高配当の特徴比較
- シミュレーションで加味する条件
- 各資産に対する実際の経費イメージ
- VYMと楽天米国高配当株式の短期パフォーマンス差
- VYMと楽天米国高配当株式の長期パフォーマンス比較
- VYMで確定申告をしなかった場合のパフォーマンス
- SBI・V・米国高配当株式で予想されるパフォーマンス
- まとめ
VYMと楽天米国高配当、SBI・V・米国高配当の特徴比較
初めに、米国ETFであるVYMと、投資信託である楽天米国高配当とSBI・V米国高配当の比較を行いましたので、下の図で紹介いたします。
投資対象の銘柄
VYMは米国株式のうち、配当金が高い銘柄を選定した指数であるFTSE High Dividend Yield Indexを対象のインデックスとしたETFです。
VYMに投資をする場合には、米国の企業に直接投資を行うことになります。
お金の流れ:投資家→VYM→米国企業
一方で、楽天米国高配当株式やSBI・V・米国高配当株式では投資信託に集まった資金は直接的にはVYMに投資をされます。その後、VYMに集まった資金は米国企業の株式買い付けに充てられます。
つまり楽天米国高配当やSBI・V・米国高配当といった投資信託の場合には間接的に米国企業に投資をすることになります。
お金の流れ:投資家→投資信託→VYM→米国企業
経費比較
投資信託に投資をする場合には、プロセスを一つ踏まなければならないために、VYMと比較をすると経費率は高くなる傾向があります。
実際にVYMの経費は0.06%である一方で、楽天米国高配当の場合には0.192%の経費が掛かります。(実際にはこれに加えて諸経費がかかりますので、実質コストは直近のもので0.26%となります。)
SBI・V・米国高配当については、経費は0.1238%となると公示されていますが、実質コストがどのようになるかは実際の運用を見ていかないと分かりません。
今回はすでに実績のある楽天米国高配当株式を比較対象として、VYMとのパフォーマンス比較検証をしていきます。
分配金・配当金の課税比較
VYMの直近10年の配当金平均利回りは3.27%となっております。
VYMの配当金課税プロセス
この配当金に対して、米国と日本において課税が行われます。
まず初めにVYMについてみていきましょう。
米国企業からもらう配当金に対して、米国において10%の課税が行われます。
その後、日本においても残った90%分に対して20%の課税が行われるため、トータルの配当金税率は28%となります。
この二重課税は確定申告を行うことにより、米国課税分は取り返すことはできますので、配当金税率は最低で20%まで抑えることができます。
楽天・米国高配当株式、SBI・V・米国高配当株式の配当金課税プロセス
次に投資信託(楽天・米国高配当株式、SBI・V・米国高配当株式)の配当金課税プロセスについてみていきましょう。
VYMの際と同様に、米国企業からの配当金に対しては米国において10%の課税が行われます。
一方で、楽天・米国高配当株式、SBI・V・米国高配当株式の場合には分配金を出さない投資信託であるために、日本では非課税のまま配当金の再投資が可能です。
その結果、トータルの配当金税率は10%となります。
ETFと比較をすると、投資信託では経費は掛かる一方で、配当金に対する課税を抑えるメリットがあると言えます。
シミュレーションで加味する条件
以上のデータをもとに、今回のシミュレーションで加味する条件を下の表で示しています。
SBI・V・米国高配当株式については、執筆時点では実質コストが現状不明ですので、VYMと楽天投信で比較を行っていきます。
・売買手数料については、投信では無料である一方で、VYMについては購入時・売却時、いずれにおいても0.45%の手数料がかかります。
・為替手数料についても、投信ではかからない一方で、VYMの場合には楽天証券では片道0.25%の手数料がかかります。
・経費率については実質コストを設定しています。
・配当金は再投資を前提とし、確定申告を行うことを前提とした配当課税率を比較では用いていきます。
※確定申告を行わない場合についても最後に比較をしていきます。
・配当益は直近10年の平均である3.27%と設定し、値上がり益は『株式投資』(ジェレミーシーゲル著)における過去データを参考に仮定しております。
各資産に対する実際の経費イメージ
コスト計算が複雑ですので、具体的なイメージがわくように10000円を軍資金として、2年間運用した際のコストとリターンの様子を下では紹介しています。
VYMの購入の場合には、資金をドルに換えるための為替コスト、そして買い付けのための購入手数料がかかりますが、楽天米国高配当の場合には、これらのコストはかかりません。
また、VYMの場合には、配当金に対しては20%の課税が行われますが、楽天米国高配当の場合には、課税は10%で抑えることができます。
VYMの場合には配当金を再投資する際の買い付けに手数料がかかる点も見落とせません。(本記事の初版では見落としていました、、)
売却時にはVYMの場合には売却手数料と、円に戻すための為替コストがかかる一方で、楽天米国高配当ではこれらの手数料がかからないのは大きなメリットと言えます。
一方で、VYMは楽天米国高配当と比較をして、経費率が圧倒的に安いという大きなメリットはあります。
以上の要素を全て加味して二年間運用すると、楽天・米国高配当株式の方がVYMよりもわずかにパフォーマンスが低い傾向がみられます。
ただ、その差はわずかであると言えます。
次に短期投資時の運用年ごとのパフォーマンスを比較していきます。
VYMと楽天米国高配当株式の短期パフォーマンス差
10000円を10年間の投資をした際の各資産のパフォーマンスを比較しました。
2年間の運用の際には楽天米国高配当株式の方がわずかにパフォーマンスが高かった一方で、10年運用していくと、VYMの方が高いリターンをもたらしていることがお判りいただけます。
これは、VYMは売買コストや為替コストがかかるために、初期の固定費がかかる一方で、経費が安いために、10年程度運用していくとそのコストを回収できると解釈することができます。
VYMと楽天米国高配当株式の比較を行いましたが、10年運用したところで、その差はわずか1.1%です。
この程度の差であれば、いずれの資産を選んでも問題はない考えても良いでしょう。
次に、さらに長期のパフォーマンスについて比較を行っていきます。
VYMと楽天米国高配当株式の長期パフォーマンス比較
より長期ということで現実的な寿命を考えて、60年運用で比較をした結果を下に示しています。
見ていただくと、50年程度運用をしていく場合には、大きな投資リターン差はないことがお判りいただけます。
一方で、60年運用の場合には、今度は僅かに楽天米国高配当株式の方がパフォーマンスが高くなります。
途中から楽天米国高配当株式のリターンが高くなる理由は、分配金なしの投資信託では配当課税を抑えることができるために、ETFであるVYMよりも複利の効果を強く受けることができるためです。
複利の効果は指数的に増大しますので、経費上のビハインドは時間とともに解消されていくためだと考察できます。
※ここの解釈は慣れないとイメージしにくいと思います。過去の記事でイラストで紹介していますので、よろしければご参考にしてください。
次に、楽天米国高配当株式とVYMのパフォーマンス差を見たものを下に示します。
上の差分から見てもお判りのように、運用開始から50年程度は大きな差はないことが確認できます。
一方で、60年という超長期運用をする場合には、楽天米国高配当株式を選んだ方がリターンを期待できると言えます。
ただ、現実的にはここまで長期で運用することもないと思いますので、VYM(確定申告あり)と楽天米国高配当株式であれば、どちらを選んでも大きな問題はないと判断しても良いかもしれません。
これまではVYMは確定申告を行うことを前提としていました。
最後に、VYMで確定申告をしなかったバージョンでも比較を行っていきます。(このケースでは、配当金に対する税率は20%から28%へと増加します。)
VYMで確定申告をしなかった場合のパフォーマンス
超長期で60年間運用した場合の比較結果を下に示しています。
見ていただくと、確定申告をしない場合、VYMへの投資リターンは大きく減少していることがお判りいただけます。
これは、確定申告をしない場合には、配当金への課税が大きくかかるために、リターンは大きく減少するためです。
特に高配当ETFであるVYMの場合はその差が顕著に表れるために、長期で運用すればするほど大きくビハインドをとってしまうと言えます。
最後に楽天米国高配当株式との差分をとった結果を下の図で紹介しています。
30年程度の運用では大きな差はない一方で、40年を超えた運用をすると、元本である10000円を大きく超えるほどのリターン差が生じることが分かります。
例えば、60年運用の場合は元本1万円に対して30万円近い運用差が生じることが分かります。
このことから、もしもVYMへの投資をするのであれば、確定申告はマストであると言えます。
「確定申告を何十年も毎年やるのなんて嫌だ。。」という方であれば、投資信託である楽天米国高配当を選ぶのが良いでしょう。
SBI・V・米国高配当株式で予想されるパフォーマンス
さて、これまでは投資信託のうち、実質コストが分かっていた楽天・米国高配当株式のみを比較の対象としていましたが、2021年6月末よりSBIからも同等の投資信託SBI・V・米国高配当がローンチされます。
この投資信託は現状、楽天米国高配当株式よりも0.07%経費を抑えながら運用ができると公示されています。
実際の実質コストがどのようになるかは分かりませんが、楽天米国高配当株式よりは安くなることが予想できます。
そのため、SBI・V・米国高配当は本家VYM、楽天米国高配当株式よりも高いパフォーマンスを出してくれると期待できます。
楽天側の米国高配当投信に関しても、競合が値下げをすることにより、値下げ圧力は高まることが予想されます。(正確には、値下がりが起こることを著者は期待しています。)
今後の実質コストの変化を見ながら、投資信託の銘柄選定を行っていくのが良いかもしれません。
まとめ
今回は人気のファンドである米国高配当株式ETFであるVYMと、VYMに投資をする投資信託である楽天米国高配当株式のパフォーマンス比較を行いました。
比較では為替コストや売買コスト、経費率、配当課税の違いを考慮しながら検証を行いました。
その結果、60年ほどの超長期で運用をする場合には楽天米国高配当株式を選ぶのがよさそうですが、それよりも短い期間の運用の場合には楽天米国高配当株式とVYM(確定申告あり)の間には大差はないことが分かりました。
一方で、もしも確定申告をしない場合にはVYMのパフォーマンスは大きく落ちますので、投資信託を選択するのが良いと言えます。
最後に、SBIからVシリーズとして、SBI・V・米国高配当株式が2021年6月にローンチされます。
この銘柄は楽天米国高配当株式よりも経費が抑えられると公示されていますので、楽天投信の上位互換となることが推測されます。
実質コストも安いことを確認したうえで、SBI・V・米国高配当株式へ投資をするのが最善の選択肢になるのではないかと著者は予想しています。
本記事が皆さまの良い資産運用に繋がれば嬉しく思います。
【徹底比較シリーズ】
本記事と同様の比較を以下の記事でも行っています。よろしければご参照ください!
■全世界株式の銘柄比較
■S&P500銘柄の比較
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