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【NASDAQ投資ならこれ!】徹底比較、ナスダック(iFree、QQQ、MAXIS[2631]):経費、二重課税、為替・売買コストを考慮し比較!!




 

「ハイリターンで人気のNASDAQ銘柄ですが、ナスダックに投資をするファンドは複数あります。」

「課税や経費等のコストを加味したとき、NASDAQに投資をする投信・ETFの中で、最もリターンが高い銘柄はどれなのでしょうか?」

※本記事はイラストだけの流し読みでも分かる内容となっています。

 

皆さま、お疲れ様です!ぴの(ぴの 【公式】@インデックス怪獣 (@indexpino) | Twitter)です🐤

高いリターンが期待できるNASDAQ指数への投資は、最も人気のある運用戦略の一つです。

日本から投資をする場合には、①投資信託、②日本ETF、③米国ETFの3つ手法を用いてNASDAQ指数に投資をすることができます。

それぞれの運用手法のうち、代表的な銘柄としては、下記の3銘柄を挙げることができます。

①投資信託:「iFReeナスダック

②日本ETF:「MAXISナスダック100ETF(2631)

③米国ETF:「QQQ

 

さて、投資家にとって興味があるのは、

これらの銘柄のうち、どの銘柄に投資をするのが最もリターンが期待できるのか、という点であると思います。 

 

本記事では、投資リターンに直結する要素であるコストとして、配当金への課税経費率売買コスト為替コストを加味して比較を行っております。

 

また、本記事の最後では確定申告の有無によるリターン差についても検証を行っております。

是非今後の長期投資のご参考にしていただければと思います。

 

※本記事は、著者の知りうる最大限を反映したつもりですが仮定も含みます。本記事は特定の資産の購入を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身でお願いいたします。

 

 

目次

 

【NASDAQ投資ならこれ!】徹底比較、NASDAQ (iFree、QQQ、MAXIS[2631]):経費、二重課税、為替・売買コストを考慮し比較!!

 

 

比較候補群の選定

本比較のはじめとして、投資信託、日本ETF、米国ETFのうち、NASDAQ指数に投資を行う銘柄の比較を行い、コストが最も抑えられるものを選定しました。

 

NASDAQに投資をする、おすすめの投資信託

日本の投資信託でS&P500に投資をする銘柄のうち、メジャーなものとしては、eMAXIS NASDAQiFree Next NASDAQ100NZAM・ベータNASDAQ100の3つです。

 それぞれの銘柄の比較を行ったものが下の図になります。

 

NASDAQに投資をする投資信託(eMAXIS、iFree、NZAM)の比較


いずれの資産も投資対象としている指数はNASDAQ指数であり、売買手数料は0、分配金も出さない*ために、比較すべきは管理費用・経費率であると言えます。

投資信託の実質のコストは交付目論見書に書かれている額と比較をして、わずかに高くなっている傾向があります。

実際に比較をすると、iFreeについては0.05%ほど実質コストは高くなっていることが確認できます。

一方でNZAMについてみてみると、交付目論見書に記載の経費率はiFreeよりも安くなっている一方で、実際の実質コストはその額よりも1%以上も高くなっており、iFreeの方が経費率を抑えた運用ができていることが確認できます。

eMAXISについてはファンド設定から間もないために実質コストは未発表となっております。

本記事の比較では、実質コストを最も抑えて運用ができるiFree NASDAQを投資信託のベストパフォーマーとして、今後の検証では比較を行っていきます。

 

*分配金について:「分配金あり(再投資)の投信」と比較をして、「分配金なしの投信」では高いリターンが期待できることを以前紹介しました。

その理由について、下記記事では図解しておりますので、よろしければご確認ください。

 

 

NASDAQに投資をする、おすすめの日本ETF

次に日本ETFを介してNASDAQに投資をする銘柄の比較を行っていきます。

主要なETFとして、①NEXT FUNDS NASDAQ(1545)、②上場インデックスファンド米国株式NASDAQ(2568)、③上場インデックスファンド米国株式NASDAQ為替ヘッジあり(2569)、④MAXISナスダック100ETF(2631)、⑤MAXISナスダック100ETF為替ヘッジあり(2632)があります。

この5銘柄の比較を行ったものを下の図では紹介しています。

 

NASDAQに投資をする日本国内ETFの比較

 

上場日を見てみると、唯一1545だけが2010年に設定されていて歴史がありますが、他の4銘柄に関しては2020年に入ってから設定がされているために、まだ日が浅い銘柄であることが確認できます。

その影響もあり、純資産については、他の銘柄と比較をして、1545には多くの資産が集まっていることが確認できます。

一方で信託報酬については最後に設定されたMAXISナスダックETF2631が最も安く、0.22%で管理ができることがお判りいただけます。

 

将来的に長期投資を行っていく上では、経費を低く抑えることは不可欠であるため、2631の優位性は高く、2631への資産流入はこの先も予想されます。

そのため純資産が小さいというデメリットは時間が解決すると推測できますので、本記事では経費が最安のMAXISナスダックETF(2631)を日本ETFの代表として選定します。

 

 

NASDAQに投資をする米国ETF

NASDAQに投資をする米国ETFについてはQQQの一強です。

QQQの特徴を見ていきましょう。

 

NASDAQに投資をするETF:QQQの資産特徴

 

QQQはインベスコ社により運用されているETFで1999年に設定されている歴史あるETFです。

その信託報酬(経費)は0.2%で比較的低い特徴があります。

分配金についてはハイテク銘柄が多いNASDAQ指数であることもあり、S&P500などの分配金と比較をして低い傾向がありますが、その分値上がり益は高く、トータルとしてはS&P500指数を超える20.27%の年率リターンをもたらしています。

 

 

 

 

各資産ごとの配当金課税の違い

投資信託の配当金課税

iFree NASDAQの配当金課税プロセスについては下記のようになります。

 

iFree NASDAQの配当金課税プロセス

iFree NASDAQでは資産のすべてを米国企業に投資します。

そのため、配当金は米国から出てきますので、まず初めに米国において10%の課税が行われます。

一方で、iFree NASDAQは分配金は出さないため、日本においては課税が行われないまま、再投資に回すことができます。

そのため、投資信託を通してNASDAQ指数に投資をした場合の配当金課税はトータルで10%となります。

 

 

日本ETFの配当金課税

MAXISナスダックETF(2631)の配当金課税プロセスは下記の通りとなります。

※上記紹介した日本ETFでは全て同様のプロセスとなります。

 

MAXISナスダックETF(2631)の配当金課税プロセス

 

分配金に対しては、投資信託の場合と同じように、米国で10%分課税が行われます。

そして、投資信託と異なり、2631は配当金の支払いを行うため、日本においても課税が行われます。

しかし、この時の税率は通常の20%ではなく、外国税額分が自動控除されるため、トータル課税率が20%となるように控除されます*。

その結果、日本ETFを通してNASDAQに投資をした場合には、投資家が受け取れる配当金には20%の課税が行われることになります。

投資信託と比較をすると、税制面では少し不利となります。 

 

*外国税額控除制度については下記の記事で解説しております。

 

 

米国ETFの配当金課税

QQQの配当金課税プロセスは下記の通りとなります。

 

QQQの配当金課税プロセス

 

米国ETFについても投資信託、日本ETFと同様に、まず初めに米国において10%の課税が行われます。

その後、日本においても20%の課税が行われるため、トータルの配当金税率は28%となります。

米国ETFの場合、外国税額控除制度は適用されない一方で、確定申告を行うことにより、米国課税分は取り返すことができます。

そのため、QQQの配当金税率は28%で、最小20%となります。

 

 

 

 

シミュレーションで加味する条件

以上のデータをもとに、今回のシミュレーションで加味する条件を下の表で示しています。

 

NASDAQ銘柄に投資をする資産の比較条件


売買手数料:

・iFree NASDAQの場合には、手数料は0です。

・日本ETFであるMAXISナスダックの場合は、大手のネット証券の手数料定額コース*を活用することにより、売買手数料を0に抑えることができるので、本シミュレーションでは0といたします。

・QQQについては購入時と売却時にそれぞれ0.45%の売買手数料がかかります。

 

 *定額コースの優位性についてはこちらの記事で紹介しています。

 

為替手数料:

・投資信託及び、日本ETFでは為替手数料はかかりません。

・米国ETFを活用する場合はドルを買い付ける必要がありますので、片道0.25%*の経費がかかります。

 *証券会社により異なりますので、今回は楽天証券の数値を用いています。

 

経費率:

・投資信託では実質コストで計算を行っていきます。

・日本ETF、米国ETFでは、記載通りのコストとなります。

 

配当金:

iFree NASDAQについては分配金はありませんが、2631・QQQについては配当金は課税後のものを再投資することを前提といたします。

なお、QQQの配当金課税率については確定申告を行うことを前提として20%で計算を行っていきます。

※確定申告を行わない28%課税の場合についても、本記事の最後で紹介します。

 

配当益と値上がり益はそれぞれ直近10年の平均である1.11%と20.27%で計算しております。

 

 

各資産に対する実際の経費 

為替コスト、売買コスト、経費コスト、配当金課税など、様々な要素が絡んできますので、コストのイメージがわくように10000円を軍資金として、2年間運用した際の資金の流れを下図では示しています。

 

iFree NASDAQ、MAXISナスダック2631、QQQのコストとリターンイメージ

 

上の青文字で示した利益は日本で未課税のもの、黒字で示したものは日本で課税済みであることを示しています。

QQQに関しては為替コストや、売買コストなど、他の資産よりも複数のコストがかかっていることが確認できます。 

このように、iFree NASDAQ、MAXISナスダック2631、QQQ、いずれにおいても経費率や配当金課税の違いから、最終的なリターンが異なってきます。

その結果、2年間の運用で見てみると、コストが低い2631がリターンがやや高い一方で、為替コストや売買コストがかかるQQQのリターンはやや劣る傾向がみられました。

ただ、いずれにおいてもその差はわずかであると判断しても問題がないと言えます。

 

次に短期投資時の運用年ごとのパフォーマンスを 比較していきます。

 

 

iFree NASDAQ、MAXIS 2631、QQQの短期パフォーマンス差 

10000円を10年間の投資をした際の各資産のパフォーマンスを比較しました。

 

iFree NASDAQ、MAXIS 2631、QQQの短期パフォーマンス差


10年間の運用を行っていく場合も、MAXISナスダックETF(2631)が最も良いパフォーマンスを示すことが確認できます。

これは経費率が低く、売買・為替コストがかからなかったことが理由として考えられます。

次に良いパフォーマンスだったのはQQQでした。

2年間の比較ではiFreeの方がQQQよりも良いパフォーマンスを示していた一方で、長期の運用になるに従い、QQQ投資にかかる売買コストや為替コストといった一時的なコストの影響は小さくなることために、このような結果になったと推測できます。

逆に、経費率が高くつくiFree NASDAQでは長期で運用していくにしたがってパフォーマンスが悪くなることが確認できました。


細かな差に着目してきましたが、正直なところを言うと、この程度の差であれば、わずかなものであると考える方も少なくはないと思います。

次に、よりパフォーマンスに差が出ることが予想される超長期のパフォーマンスについて比較を行っていきます。 

 

 

iFree NASDAQ、MAXIS 2631、QQQの長期パフォーマンス差 

おそらく個人としては最長の運用である、60年という長期で運用した場合の比較結果を下に示しています。

 

iFree NASDAQ、MAXIS 2631、QQQの長期パフォーマンス比較


見ていただくと、60年という超長期で運用をした場合にもMAXISナスダック(2631)が他の資産と比較をして高いパフォーマンスを示していることが分かります。

QQQについても大きくは後れを取らない、高いパフォーマンスを示すことが確認できます。

一方で、経費率が高くつくiFreeではこれらの資産と比較をしてリターンが低くなる傾向がみられました。

 

※注意:かなり大きなリターンが出ているように見えますが、これはシミュレーションの条件を直近のNASDAQが好調な時期を前提としていることが原因です。

残念ながら現実はこうはならないと思います。この点については最後に考察します。

 

次に、最も高パフォーマンスであったMAXISナスダック(2631)とiFree NASDAQ・QQQのパフォーマンス差を見たものを下に示します。下図では縦軸を対数表示しております。

 

iFree NASDAQ、MAXIS 2631、QQQの長期パフォーマンス差 


この結果から、運用期間が長くなるほど、2631とのパフォーマンス差は大きくなることが確認できます。

差が変化していく様子が分かりやすいように対数目盛で表示していますが、60年運用した際の2631とiFree NASDAQの運用益の差は6600万円で、2631とQQQの運用益の差は250万円ですので、大きな差であることがお判りいただけます。

 

以上から超長期投資をする場合にはMAXISナスダック(2631)に投資をするのが好ましいと言えます。 

人気のQQQについては2631と比較をするとわずかにパフォーマンスは劣りますが、大きな差ではないために、”確定申告を前提とするのであれば”悪くない投資先であると言えます。

 

さて最後に、QQQに投資をする際に、”確定申告をしないケース”についても検証を行いましたので紹介いたします。 

この場合、配当金に対しては米国課税と日本課税が行われるために、28%の課税が行われます。 

 

 

 

 

QQQ(確定申告なし)の場合のパフォーマンス比較

早速超長期運用である60年運用の場合の比較結果を下に示しています。 

 

QQQ(確定申告なし)の場合のパフォーマンス比較

青で示しているものが、確定申告を行わなかった場合のQQQのパフォーマンスです。

確定申告をしたグレーのケースと比較をしてパフォーマンスが劣っていることが確認できます。

これは毎回の配当金に対して高い税率が課せられるためであると言えます。 

 

高パフォーマーであるMAXISナスダック(2631)とのリターンの差を見たものが下の図です。

 

QQQ(確定申告なし)の場合のパフォーマンス差

 

MAXISナスダック(2631)との差分を見た時、青で示したQQQ(確定申告なし)は大きくリターンが低下していることが本結果からも見て取れます。

以上のデータから、米国ETFに投資をするのであれば、確定申告を行うことが重要であることがお判りいただけます。

もしも60年間も毎年確定申告をするのが面倒だと感じるのであれば、無難に外国税額控除制度が適用される2631を選ぶのが良いのではないでしょうか。

 

最後に注意事項を加えたうえで、まとめに入ります。

 

 

NASDAQ指数の今後のパフォーマンス

今回の検証では直近のパフォーマンスをもとに検証していきましたが、ここ10年の平均の年率トータルリターンが20%というのは、”異様なほど高すぎる”と言わざるを得ません。

そのため、今回のシミュレーションで算出された値がその通り出ると期待すべきではありません。

(もちろん、本記事での検証では経費率や税金といった確定しているコストを比較したものであるため、各資産間のパフォーマンスの優劣比較は妥当なものであると考えます。)

 

過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを保証するものではありません

直近たかだか10年のパフォーマンスが良いからと言って、この先何十年も高パフォーマンスであるという根拠にはなりません。

むしろ、直近数年で大きく値上がりした資産はその分割高な水準となり、将来のリターンを押しつぶしてしまう危険性もあります。

NASDAQの現在の水準がどうなのかについて、これまでのPERをもとに考察を行ていますので、ご参考になれば幸いです。

 

 

将来のアウトパフォーマーを見つけるのはプロでも困難だと言われています。

長期投資をするのであれば、NASDAQへの一点集中投資をするのではなく、市場全体に広く資産を投じることが賢明であると著者は考えます。

 

 

 

 

まとめ

本記事では、人気指数の一つであるNASDAQに投資をする銘柄として、投資信託のiFree NASDAQ、日本ETFのMAXISナスダック(2631)、米国ETFのQQQについて、パフォーマンスの比較を行いました。

比較では、それぞれの資産の経費率、為替・売買コスト、課税を考慮して、可能な限り現実を模したシミュレーションを行ってきました。

その結果、高パフォーマンスが期待できる順番に、MAXISナスダック(2631)> QQQ> iFree NASDAQであることが明らかとなりました。

MAXISナスダック(2631)とQQQのパフォーマンス差は僅かなものでしたが、これはQQQの場合は毎年確定申告を行ったときに限ります。

もしも確定申告をしないのであれば、QQQのパフォーマンスは大きく低下します。

毎年、確定申告をするというのは大きなヒューマンコストがかかると言えますので、もしも楽をしたいのであれば、MAXISナスダック(2631)を選択するのが無難ではないでしょうか。

 

 

最後に1点、大切な注意事項です。

ここ10年NASDAQは他の指数を大きく超えるパフォーマンスを出していますが、これはこの先も高いリターンをもたらすことを保証するものではありません。

10年アウトパフォームした代わりに、この先10年アンダーパフォームする可能性もあります。

2000-2010年の頃のNASDAQのように。

 

長期で資産運用を成功させるためには分散投資は不可欠です。

NASDAQのみを投資対象とするのは極めてリスクが高い運用戦略であると言えます。

拙著のサイトでは今回の記事と同様に、全世界株、S&P500、米国高配当に投資をする資産に対してもパフォーマンス比較を行っております。(最後にリンクを紹介します。)

効果的な長期資産運用を継続するうえで、これらの記事を参考にしていただけたら、著者としてはとても嬉しく感じます。

(私自身はシミュレーションの結果に忠実に長期積み立て投資を行っております。)

 

本記事が皆さまの良い資産運用に繋がれば嬉しく思います。

 

 

 

【併せて読みたい3記事】

①【徹底比較】全世界株式

 

②【徹底比較】S&P500

 

【徹底比較】米国高配当(VYM)

 

 

 

 

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