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【株式投資家必見】ETFの本当の値段をリアルタイムで確認する方法:インディカティブNAV




 

 皆さま、お疲れ様です!ぴの(ぴの @インデックス怪獣 (@indexpino) | Twitter)です🐤

 本日はETFに投資している人なら知っておきたい、インディカティブNAVについて紹介いたします。この指標というのは端的に言えば、個々のETFの”本当の値段"をリアルタイムで示す指標といえます。あまり馴染みのない指標ではありますが、投資をするものとしては知っておいて損はないと思います。

 後ほど詳細を記載しますが、私はこの指標のおかげで、莫大な損失を回避することができました。

 

目次

 

インディカティブNAVはETFの本当の価格

 インディカティブNAVとは indicative net asset value のことで、東京証券取引所の母体である日本取引所グループ(JPX)から発信されている、無料で入手できる極めて信頼ができる指標です。定義は次のようになります。(JPXのWebサイトから引用しております。リンクは記事の最後に記載いたします。)

 インディカティブNAVとは、取引時間中のETF保有資産(純資産価値,NAV;Net Asset Value)に係る1口あたり推定価値をいいます。従来から、ETFは投資信託同様に1日1回純資産額を公表していますが、取引を活発化させるため、取引時間中に投資家が容易にETFの純資産価値を把握できるようインディカティブNAVの公表を開始することとしました。
ETFには、保有する資産等を前日終値に基づいて算出した基準価格、保有する資産等を現在値に基づいて算出したインディカティブNAV及び市場価格の3つの価格があります。インディカティブNAVを用いることで、ETFが持つ正味資産より買われているか(インディカティブNAV<市場価格の場合:プレミアム状態)又は売られているか(インディカティブNAV>市場価格の場合:ディスカウント状態)を投資家は判断することができ、より効率的な売買が可能となります。

 インディカティブNAVは取引時間中は15秒ごとに更新が行われます。そのため、インディカティブNAVは、ETFの本来の価値をリアルタイムで把握できる指標と言えます。 

 JPXのWebサイトにその解釈についても載っていますので紹介いたします。

インディカティブNAVの解釈

 この図では、取引が行われる1日における3種類の価格の推移を示しております。赤色がインディカティブNAVで、青色が市場価格を示しており、黄色の線は基準価格で、そのETFの資産を前日の終値に基づき算出した価格を示しております。そのため、リアルタイムで更新されることはありません。

 上の図では、市場価格とインディカティブNAVのそれぞれの上下関係に着目して、二つの状態を説明しています。プレミアム状態というのはインディカティブNAVよりも市場価格が高い状態という意味で、割高な状態と解釈できます。一方で、ディスカウント状態というのは、両者の上下が逆転している状態ですので、割安な状態であると解釈できます。

 市場価格は、そのETFが持つ実際の価値だけでは決まらず、その資産に対する投資家の期待や、チャートに着目した値動き予想*、集団心理など多くの影響を受けて決まります。そのため、市場価格とインディカティブNAV近い値にはなりませんが、完全には一致しません。

*私はテクニカルと呼ばれるものは信頼しませんが、、

インディカティブNAVの活用方法

長期投資家は平常時に見る必要はない

 正直な話をしますが、この指標は常にチェックをする必要はないと思います。私もここ9か月近くインディカティブNAVは確認していません。それは市場価格とインディカティブNAVは大きく乖離することはないためです。そのため、いちいちJPXのWevbサイトで確認をしても、大して重要な手掛かりを与えてはくれません。特に積み立てや長期運用を考えている場合であれば、リターンに大きな影響は与えませんので、ご自身で決めた投資のペースを貫く方が手間もかからないし継続しやすいと思います。(短期のデイトレーダーであれば話は別かもしれません。ただ、私はその分野には明るくないので、ここではコメントは控えます。)

暴落時には重要な手掛かりになる

 平常時には見る必要がないと思いますが、大暴落が起こった際には理論値と市場価格に乖離が生じることがあります。この時、インディカティブNAVは極めて重要なヒントをくれます。私が昨年、原油ブルETN(原油価格の2倍の値動きをするETN)で大損した経験談を紹介いたします。

 私はもともとインデックス専業の長期投資家になる前に、いくつかの銘柄を用いて、数か月くらいで売買を繰り返すスイングトレードを行っていました。NN原油ブルETNも私が持っていた銘柄の1つで、2019年の1月から定期的に売買をしており、わずかに利益も出ていました。

 その後、2020年に入り、コロナショックが起こりました。この時、OPECの協調減産決裂によるかつてないほどの供給過剰と、コロナによる需要激減の影響を受けて、原油価格は大暴落しました。アメリカの石油価格指標であるWTI原油価格は史上初のマイナスを記録したのが記憶にある方も少なくないと思います。下が当時の原油ブルの値動きです。直近高値から1/10に値下がりしました。

原油価格の暴落時にインディカティブNAVが重要な指標になる 

 この時、原油価格は1日で25%下落し、その指数にレバレッジをかけた原油ブルETNも大打撃を受けました。一方で、日本株式では1日に値動き可能な値幅制限があります。そのため、25%の2倍の暴落というのが、ETN価格に反映できないまま市場は閉じました。その後も原油暴落と値幅制限の影響で、多くの投資家がETNの値段がわからないまま迷走する事態となりました。その結果、数日間、妥当な価格水準から大きく乖離した状態が続きました。私は偶然にもこのタイミングでインディカティブNAVの存在を知り、理論値がわかったからこそ、かなり高値のうちに損切りをすることができました。(おそらくこの指標を知らない人が買ってくれたのだと思います。)

成功したような話になってますが、そんなことはありません。私はこの暴落を受けて、スイングトレードでの利益を大幅に超える数10万レベルの損失を受けました。。

 少し長い話になってしまいましたが、結論は単純です。大きな値動きが起こるときに、市場価格とインディカティブNAVに乖離が生じることがあります。インディカティブNAVを知っておくことは、損切り、あるいは利益確定の際に重要な手掛かりになると言えます。

まとめ

 今回はETFが持つ本当の値段の指標であるインディカティブNAVを紹介いたしました。長期投資においては、平常時で活躍することはあまりないと思いますが、暴落・急騰時には重要なヒントを与えてくれます。また、平常時であってもデイトレーダーや、値動きが激しいレバレッジ型ETFを保有する方にとっては有益な情報になるかもしれません。

 本記事は以上となります。皆さまの良い投資につながれば幸いです!

 

■参考文献■

 

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