【PERの長期チャートから考察】ナスダックはバブル崩壊間近⁉
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「ナスダックはバブル崩壊間近⁉」今回のタイトルは、少し攻めたものにしてみました。
ナスダック指数はコロナ前の最高値は2020年2月の9838であった一方で、現在はそこから大幅に上昇し、2021年4月現在13830となっています。
約40%の上昇です。わずか14か月でこれほどまでに上昇するのは妥当なのでしょうか。
私自身は、現在のナスダックは妥当な水準を超えた価格である確率が高いと考えています。
今回はその根拠ついて、株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)と株式益回りの過去データと比較をすることにより、現在の相場が妥当なものか、検証いたします。
また、本記事内では過去のPERが、将来のリターンに与える影響についても紹介いたします。
※本記事の内容はジェレミーシーゲル著『株式投資』より適宜引用いたします。
目次
- 株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)
- 株式益回り
- 株価収益率(PER)・株式益回りと将来リターンの関係
- 今のナスダックはバブルなのか
- バブルのリスクが気になるときの投資手法
- まとめ
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)
PERの概要
株価収益率(PER)とは株価を評価するうえで最も基本的な尺度であると言われています。
これは下記の式のように、企業の年間の利益に対する株価の比率を示します。
株価収益率は個々の企業の評価だけでなく、市場全体を評価する際にも用いることができます。
市場全体の株価収益率という場合には、市場全体の利益に対する、市場全体の価値の比率を意味します。
PERの解釈
PERは企業の利益1円に対して、どれだけの価格を出すことができるかという意思を測ることができます。
例えばPERが20であるときには、企業の1年間の利益1円に対して、20円の株価がついていることを意味します。
つまり株価と収益性がその間で変わらなかったとすると、20年間この銘柄に投資をすることにより、投資資金20円分の収益を回収することができると言えます。
もちろんこの収益に加えて、株を売ることにより元本の20円を取り戻せます。
一方で、例えばPERが5であるときには、5年で投資元本分の収益を確保することができるため、投資家にとっては好ましい資産であると言えます。
PERは一般的には低い方が投資をする際には好ましいと言われますが、それは一概には言えません。
個々の銘柄のPERを左右する最も大きな要因は、将来の利益成長に対する期待です。
例えば新興ハイテク企業などでは、将来の利益増加が期待されるためにPERは高い状態(株価が高い状態)が正当化されます。
PERを決定する要素は利益成長だけではなく、例えば政策金利や政治的リスク、バブル相場における昂った投資家心理など、様々な要因が影響を与えます。
そのため、短期的な予測を立てるうえでは、過度に信頼してはいけない指標であると言えます。
株式益回り
株式益回りの概要
株式益回りとは、1株当たりの利益を株価で割った値で求めることができます。
算出方法からも分かるように、これはPERの逆数を求めることで算出できます。
株式益回りの解釈として、すべての利益が配当として株主に還元される場合には、株式益回りは株式の利回りと等しい値となります。
株式益回りの解釈
この株式益回りはインフレ調整後の実質利回りとなることが知られています。
実際に『株式投資』では検証が行われており、米国市場における1871年~2006年の実質利回りは6.7%であり、その間の平均PERは14.45、株式益回りは6.8%(=1 / 14.45)であるため、両者の値はほぼ一致しています。
以上をまとめると、短期的なリターンを見積もるうえではPERや株式益回りはあまりあてにならない一方で、長期的なリターンを予測するうえではPERと株式益回りが重要な指標になると言えます。
株価収益率(PER)・株式益回りと将来リターンの関係
PER・株式益回りとリターンの関係についてのデータ
株式益回りは景気循環などによる利益のばらつきの影響を受けるために、過去数年分のデータを平均して活用することが重要です。
下の図では、過去5年間の平均PERを横軸に示し、次の5年間の実質利回りを縦軸に示した図です。(『株式投資』より引用しています。)
この図で重要な点は、PERと実質利回りが右肩下がりに相関をしている点です。
つまり、PERが高い時に投資をすると、期待利回りが低くなることをこのデータは示しています。
実際に、PERが30を超えたタイミングで投資をした場合には、その後の実質利回りはマイナスの値をとっています。
PER・株式益回りがリターンと相関する理由
PERが高いほど(株式益回りが低いほど)、実質利回り低くなる理由は次の点があげられます。
PERが高い時というのは収益に対して、株価が高いことを示しています。
つまり、このタイミングで投資をすることは、株価を高値で掴んでしまっているために、直近数年で株価が上昇することがあまり見込めないと言えます。
逆にPERが低い時期というのは、収益に対して、株価が低いことを示しており、安値のうちに株を購入できるために、その後は大きなリターンを期待できると解釈できます。
これらのデータから、直近5年間のリターンを予測するうえでは、株価を安いうちに買えるかどうかが、重要な影響を与えると言えます。
今のナスダックはバブルなのか
NASDAQの株価チャートと過去のPER推移
PER・株式益回りと将来の実質リターンは関係するため、ナスダックがバブルなのかを判断するためには、ナスダックの現在のPERを知ることが重要な手掛かりとなります。
下の図では、データが取得できた2007年9月ー2021年4月の現在に至るまでの、ナスダックの株価と過去のPERの推移を示しています。
ナスダックの株価は連動するETFであるQQQを用い、PERはこちらのリンクのデータを参考にしています。
見ていただくと、紫で示したナスダック指数を対象とするQQQは堅調に上昇していることがお判りいただけます。
赤で示したPERは2007年から2019年にかけては比較的安定した値をとってきた一方で、2019年末から上昇し、2021年3月時点では71.4となり、ここ数年は極めて高いPERとなっていることがお判りいただけます。
黄色の点線で示したのが、2007ー2021年の間の平均PERで23.9となっていました。また、最近の上昇を除いた2007ー2019年10月までの平均PERは20.6でした。
『株式投資』で示されていた過去のPER値14.45と比較をすると、ナスダックの平均PERとして見積もられた23.9や、20.6はやや高い値であると言えます。
これはナスダックが割高であることを示しているのではありません。ナスダックはハイテク銘柄が多く、グロース系の企業が多く上場しています。
そのために、現在の収益率に加えて将来の収益増加が期待されているために、平均してやや高い株価が妥当な水準であると言えます。
さて、現在のナスダックのPER値71.4は、上昇以前の過去の平均PER値20.6と比較をすると極めて高い値であると言えます。
このことは現在の収益性を置いてきぼりにしながら、期待が先行し、株価のみが上昇している状態を示唆しているデータと言えます。
私はこのデータから、現在のナスダックの株価は割高な水準であり、ナスダックはバブルであることを否定することは難しいと考えています。
先ほどPERが高いタイミング、あるいは株式益回りが低いタイミングで投資をした場合にはその後5年間は低いリターンとなるというシーゲル教授のデータを紹介しました。
ナスダックの現在の水準とこのデータを合わせて考察をすると、現在ナスダックに投資をした場合、向こう5年間の低リターン、あるいはマイナスリターンとなる可能性が予想されます。
ナスダックはバブルではないは本当か?
野村アセットマネジメントが出すデータの信ぴょう性
ナスダックは割高な水準ではないという主張が、野村アセットマネジメントから発表されています。
バリュエーションから見た時、ナスダックの値がおおむね適正であると言える根拠が下の図です。
黒線:ナスダック総合指数、赤線:EPS(一株当たりの利益)×30
上の図では、過去の傾向を見てみると、ナスダック総合指数はEPS(一株当たりの利益)を30倍した値とおよそ等しいこと を示しています。
そして、2021年のコンセンサス予想のEPSは405ポイントとなっているために、そのデータに基づいて示した、EPS×30の値を示したのが、図の赤線の右端となります。
このデータから2021年の段階において、ナスダック総合指数はEPS(一株当たりの利益)を30倍した値とおよそ等しいために、おおむね適正な水準であるという主張です。
予測に基づいた仮説
ここで注目すべきは2002年から、2020年までは過去のデータに基づいた実績EPS値である一方で、2021年は予想EPSで論じている点です。
この図から見てみると2020年まではEPSから算出した赤線の値は約6000である一方で、2021年にはそれが12000へと上昇することを予想しているにすぎません。
たった1年で一株当たりの利益が2倍になることを予想することは、本当に合理的な判断と言えるのかどうか、疑ってかかる必要があると言えます。
つまり、現在の株価及びEPSの予測は、期待が先行した値である可能性があります。
アナリストの評価は必ずしも正しくない
証券会社や資産運用会社はバブルではないという強気なリリースを出す傾向が過去にもみられています。
例えば、2000年のITバブルでは、妥当なPER水準を大幅に超えた株価に対して、インターネットは革新をもたらすために、従来型であるPERの指標で評価をするのは正しくないと主張し、バブル水準を正当化する著名なアナリストも多くいました。
一方でご存じの通り、インターネットバブルは崩壊し、ナスダック指数は70%以上下落し、銘柄によっては99%株価が下落しました。
企業が相場に対して強気な姿勢を見せる理由は、利益構造を考えるとその理由は明らかです。
証券会社や資産運用会社では、売買手数料や管理手数料といった利益を受け取ることができるために、顧客が大きく売買をした方が都合が良いと想定できます。
強気の予想を発表し、多くの投資家に売買を促せば、投資が活発になり、これらの会社は利益を増加させることができます。
個人投資家の視点に立ってみれば、強気予想に基づいて、高いPER・低い株式益回りのタイミングで投資をすることは、大きなリスクになりうると言えます。
著名なアナリストや投資家であっても、その将来的な予測を信頼することは必ずしも正しい選択にはならないことは、個人投資家が知っておくべきだと思います。
バブルのリスクが気になるときの投資手法
私自身はナスダック指数の最近の高騰を強く警戒しています。そのため、ナスダックには現在全く投資をしていません。
その代わりに、高配当銘柄や、バリュー銘柄も含むS&P500、あるいはREIT(不動産)といったナスダックと比較をすると割高感が低い、あるいは割安感さえ感じる資産に投資を行っています。
ある資産がハイリスクだと感じるのであれば、それを避けて、リスクが低そうな資産にウエイトを置いて投資をするのが良いのではないでしょうか。
また、長期投資を想定するのであれば、株価が高いからと言って、積み立てをやめる必要はないと思います。
その理由については過去の記事で紹介しましたので、興味があればご覧ください。
まとめ
今回はPER(株価収益率)とその逆数である株式益回りが何を意味していて、どのように算出されるのかについて説明いたしました。
そして、PERが高い時期(株式益回りが低い時期)に投資をすることが、直近数年で低いリターン、あるいはマイナスのリターンをもたらすことを紹介いたしました。
現在のナスダックのPERは過去の平均と比較をして、かなり高い値となっています。
このことから、現在ナスダック指数は割高な価格形成がされており、今ナスダックに投資をすることは直近数年では低いリターンとなりうるリスクがあると推測できます。
投資先はナスダック以外にも多くの銘柄があります。
直近のパフォーマンスを見て投資先を決めるのではなく、広く市場を見て、投資先を決めることでより良い資産運用が可能であると言えます。
(もちろん、その分析の結果、ナスダックが良いと判断する投資家もいるとは思います。私はそうは思いませんが、、)
今回の記事が皆さまの良い投資に繋がりますように!
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