【VTI, VOO, SPY, VB】全米・大型・中型・小型株をサイズごとに比較、おすすめの米国ETF!
「米国に投資をする米国ETFは様々あるが、どれがリターンが高いのか?」
「全米・大型・中型・小型のうち、どの米国ETFに投資をすればよいのか。。」
「様々なETFのリスクのリターンをサクッと比較したい!!」
皆さま、お疲れ様です!ぴの(ぴの 【公式】@インデックス怪獣 (@indexpino) | Twitter)です🐤
米国株への投資は高いリターンをこれまでにもたらしてきたことから、人気のある投資先の一つです。
日本で購入できる米国ETFも近年増えてきており、企業の時価総額のサイズで分けた際に大型株ETF・中型株ETF・小型株ETFや、それらすべてを含んだ全米株ETFなど多くの種類があります。
その多様さゆえに、投資の際にはどれを選定するか悩みます。
本記事では主要な米国ETFを全米株式・大型株・中型株・小型株をそれぞれ対象にしたETFの比較を行いました。
比較の項目は、経費・出来高・チャート・対象インデックス・過去リターン・シャープレシオです。
銘柄選定の際に、ぜひご参考にしてください!
(データはモーニングスター社のWebサイトより引用しております。)
目次
全米株式ETFの比較
VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケット)
VTIは全米株式に投資をするETFとしては最もメジャーなものです。低コストで有名なバンガード社が運用するETFです。
対象とする指数はCRSP* USトータル・マーケット・インデックスです。
この指数は約3500銘柄を投資対象としており、投資可能な全米の株式をほぼ全てカバーしています。
時価総額加重平均で算出しているため、現在は時価総額が最大のアップルが最大の投資先となっております。後述のVTHRとの比較は本章の最後に行います。
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*余談ですが、こちらのCRSPはCenter for Research in Security Prices(シカゴ大学証券価格調査センター)のことです。
VTHR(バンガード・ラッセル3000)
VTHRもVTIと同様にバンガード社が運用を行うETFです。VTIとの違いは対象の指数がRussel3000というものを用いている点です。
ラッセル3000は米国の時価総額が高い企業上位3000社を対象に投資を行う指数となっております。
前述の指数は3500社である一方でこちらは3000社とわずかに減りますが、時価総額としては米国の株式市場の98%をカバーしていますので値動きとしては顕著な差はないと考えてよいと思います。
VTIとVTHRの比較
それぞれのETFの特徴を下の表にまとめました。
比較の上で特に重要な項目をオレンジで強調しております。
■信託報酬はVTIが0.02%でVTHRが0.09%となり、いずれも低コストですがVTIが有利であると言えます。
■月間出来高もVTIはVTHRを上回る取引が行われていることが確認できます。出来高が高い銘柄ほど流動性が高く、売りたいと思ったときに理想の価格で売れる資産であると言えます。
■分配込みリターンでは、分配金を再投資した際のインカムゲインとキャピタルゲインのトータルリターンを示しています。VTIとVTHRでは、対象となる指数が類似していることもあり、両者ともに直近10年のリターンは13%弱であることが分かります。
■シャープレシオはリスク分のリターンで求められる値です。この値が高い資産ほど、大きな値動きなく、効率よくリターンを稼ぐことができた資産であると言えます。シャープレシオについても、指数が似ていることもあり、大きな差がないと言えます。
VTHRが設定された2010年末からの比較チャートを下に示します。
青:VTI、橙:VTHR
VTIとVTHRがカバーする銘柄はほとんど同じであることもあり、値動きは見分けがつかないほど類似しています。
チャートからはどちらを選んでも変わらないと言ってよいでしょう。
以上を総合すると、全米株式に投資をする際には、安い経費率(信託報酬)、出来高の高さ、そして買い付け手数料無料という観点から、VTIを投資対象として選定することが合理的であると言えます。
米国大型株ETFの比較
VOO(バンガード・S&P 500)
VOOはバンガード社が運用するETFで日本でも人気のETFの一つです。
対象とする指数は、かの有名なS&P500です。この指数は米国を代表する企業500社を対象としており、米国市場のおよそ75%をカバーしています。
この指数への採択の基準は必ずしも時価総額では決まらず、セクターバランスなども考慮されます。
時価総額が高くてもすぐには採用されずに、テスラがS&P500に採用されたのはつい昨年2020年末でした。
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SPY(SPDR S&P 500)
State Street Global Advisorsが運営するETFです。対象指数はS&P500で、SPYはS&P500に連動する米国初のETFであることでも有名です。
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DLN(ウィズダムツリー 米国大型株配当)
ウィズダムツリーが運用するETFです。
対象指数はウィズダムツリー米国大型株配当インデックスです。 聞きなれない指数だと思いますので、しっかりと説明します。
ウィズダムツリー米国大型株配当インデックス
ウィズダムツリー社はあまり聞きなれない会社かもしれませんが、日本でも有名なジェレミーシーゲル教授がアドバイザーに入っていることで有名な会社です。
この会社の運用方針の特徴は、配当を重視していることです。
通常の指数は時価総額で重みづけをしたインデックスを対象とする一方で、ウィズダムツリー社のインデックスでは、株価単体よりも配当額の方が企業の価値を計る上で、よい手段であるという理念のもと、配当額の合計による重みづけをもとに株式を荷重する手法(配当加重平均指数)を用いています。
そのためS&P500の指数よりもインカムゲインを重視した指数と言えます。
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VOO、SPY、DLNの比較
それぞれのETFの特徴を下の表にまとめました。
■信託報酬ではVOOが0.02%、SPYが0.1%、DLNが0.28%であり、VOOに軍配が上がります。
■月間の出来高では設定日が早いSPYが最も高い一方で、VOOも十分な出来高があると言えます。一方で、DLNは両者と比較をすると出来高が少ないと言えます。
■分配込みのトータルリターンは、S&P500を対象指数としているVOO・SPYでは約13%弱のリターンをもたらしています。一方で、DLNについては少し下がり、11%弱のリターンをもたらしています。
なお、表には入れていませんが、トータルリターンを構成するうち、インカムゲインに関しては、VOO、SPYのに関しては、直近の配当利回りが約1.3%である一方で、DLNは配当を重視していることもあり、2.6%と約2倍の利回りがあります。(上表の値はインカムゲインも加味されています。)
直近10年では高配当銘柄やバリュー銘柄よりもグロース銘柄がアウトパフォームしていました。
そのこともあり、DLNは他のETFと比較をしてアンダーパフォームしたと考えられます。
これは個人的な意見ですが、グロース銘柄のアウトパフォームがこの先も続くかどうかは全く分かりません。バリュー銘柄の見直しが大きく入る可能性も否定はできません。
そのため、直近10年のパフォーマンスが悪いからと言って、DLNが良くない資産であると断言してはいけないと私は考えます。
VOOが設定された2010年末からの比較チャートを下に示します。
青:VOO、橙:SPY、緑:DLN
S&P500を対象指数としているVOO・SPYと比較をすると、DLNは値上がり益が低い傾向がみられます。
ここで重要な点は、このチャートは値上がり益のみを見ているため、高配当銘柄を選定しているDLNは見かけ上、パフォーマンスが低く見えてしまう点です。
配当を加味したリターンは上記の表に記載していますので、こちらをご参考にしてください。
以上を総合して、S&P500を対象として投資をするのであれば、経費率が安く運用ができるVOOを選定するのが賢明な判断と言えます。
一方で、インカムゲインを重視した運用をしたいのであれば、DLNを選択するのも悪くはないと思います。(私はVYMやSPYDといった高配当ETFを採用しますが、、)
米国中型株ETFの比較
IVOO(バンガード・S&Pミッドキャップ400)
IVOOはバンガード社が運用するETFで、対象とする指数はS&Pミッドキャップ400指数です。
聞きなれない指数だと思いますが、S&PはS&P500と同じStandard &Poor's社のことですS&P500が大型株を対象とした指数である一方で、S&Pミッドキャップ400は中型株400社を集めた指数で、米国市場のおよそ7%をカバーしております。
VO(バンガードR・米国ミッドキャップ)
VOもバンガード社が運用するETFである一方で、対象指数はCRSP US米国ミッドキャップです。
この指数は投資可能な企業を対象として、時価総額を高い順に並べた際の累積時価総額が70%〜85%に該当する米国中型企業を対象としている指数となります。
DON(ウィズダムツリー 米国中型株配当)
DONはウィズダムツリー社が運用するETFです。
対象とする指数はウィズダムツリー米国中型株インデックスであり、DLNと同様にウィズダムツリー社の運用方針である配当を重視したインデックスとなります。
具体的には、時価総額が中位の銘柄群から配当を支払っている銘柄に限定し、配当金額の大きい銘柄にウェイトを置いた資産配分で運用を行っています。
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IVOO、VO、DONの比較
それぞれのETFの特徴を下の表にまとめました。
■信託報酬についてはVOが最も安く0.03%である一方で、独自の指数で運用をするDONは0.38%では、経費の面では劣っていると言えます。
■月間の出来高についても、VOは十分な流動性があると言えます。一方で、IVOOについては出来高が少ないため、取引を行う際には、思うような価格で売買ができない可能性があります。
■直近10年の分配込みのリターンについては、VOが最もリターンが高いことが明らかとなっています。一方で、DONは特に直近1年のリターンが低いこともあり、10年で見た際もリターンが低い傾向があります。
■シャープレシオについては、VOが最も高く0.87 であるため、最も安定したリターンを稼ぐことができたと判断できます。
IVOOが設定された2010年末からの比較チャートを下に示します。
青:IVOO、橙:VO、緑:DON
それぞれのETFが異なる指数を対象としていることもあり、微妙に値動きの様子は異なります。
こちらに関しても、インカムゲインを重視するDONでは、見かけのパフォーマンスは低く見えます。配当込みリターンは上記表の値を参考にしてください。
以上を総合すると、経費率・出来高・リターン・シャープレシオすべての面でVOが優れていると判断できます。
また、VOは他のETFよりも市場カバー率が高いことも魅力であると言えます。
米国小型株ETFの比較
VIOO(バンガード・S&Pスモールキャップ600)
VIOOはバンガード社が運用するETFで、対象指数はS&P小型株600指数です。
小型株600社を対象とした指数であり、米国市場のカバー率は約3%です。この指数の選定基準については詳細を後述します。
SPSM(SPDRR Prtf S&P 600 小型株式 ETF)
SPSMはState Street Global Advisorsが運営するETFです。
SPSMもVIOOと同様にS&P小型株600指数を対象としたETFとなっております。
IWM(iシェアーズ ラッセル2000)
IWMは世界最大の資産運用会社であるブラックロックが運営するETFです。
IWMが対象とする指数はRussell2000で、米国企業を時価総額順に3000社順位付けした際の、下位2000社を対象とした指数となっております。
米国市場のカバー率は約8%です。
VTWO(バンガード・ラッセル2000)
VTWOはバンガード社が運用するETFで、IWMと同様にRussell2000を対象指数としています。
S&P小型株600指数とラッセル2000指数の違い
同じ小型株でも両者の採用基準は異なることが、下記記事*で指摘されています。
ラッセル2000指数では、時価総額が小さい小型株が無条件で選ばれます。一方、S&P600指数では、流動性やセクターバランス、収益性といった基準をクリアしたもののみが採用されるという特徴があります。
この違いがあるために、同じ小型株運用であってもパフォーマンスは異なるものとなります。
*引用文献
VB(バンガード・スモールキャップ)
VBはバンガード社が運用するETFで、対象とする指数はCRSP USスモールキャップ・インデックスです。
この指数は投資可能な株式のうち、時価総額の下位2%〜15%に該当する米国企業が含まれます。
VIOO、SPSM、IWM、VTWO、VBの比較
それぞれのETFの特徴を下の表にまとめました。
■経費率についてはIWMを除いて、いずれも低コストで運用ができると言えます。
■月間の出来高についてはIWMが最も高いですが、SPSM、VTWO、VBいずれの銘柄でもまずまずの出来高があると言えます。
■10年間の分配込みリターンについては、S&P600を対象指数としているVIOOが最もパフォーマンスが高い結果となりました。
■シャープレシオについては、いずれも0.8前後で大きくは変わらないと言えます。
SPSMが設定された2013年からの比較チャートを下に示します。
青:VIOO、橙:SPSM、緑:IWM、黄:VTWO、紫:VB
同指数(ラッセル2000)を対象とするIWMとVTWOは、見分けがつかないほど同等の値動きをしています。
一方で、VIOOとSPSMはどちらもS&P600を対象指数としている一方で、値動きは大きく異なっています。
ETFの組み入れ銘柄は微妙に異なってはいますが、ここまで大きな差がチャートに表れているのは少し違和感があります。。(理由が分かる方はコメントいただけると嬉しいです!)
上の表のデータは、モーニングスター社のデータから引用した配当込みのリターンですので、トータルリターンについては、チャートではなく、上の表の値が正しいとしたいと思います。。
以上を総合すると、小型株に対して投資をする場合には、経費率と出来高に優れているVBを選択するのが良いと推察されます。
一方で、VIOO、SPSM、VTWOいずれも大きな差はないと言えますので、経費率の高いIWMを除いて、いずれの資産を選ぶかは個人の好みによるところが大きいのではないでしょうか。
おすすめ銘柄VTI、VOO、VO、VBの比較
大型株の優れたリターン
これまでは対象とするインデックスのサイズごとに分けて比較を行ってきました。
最後に全米株、大型株、中型株、小型株どこに投資をするのが良いのか、比較をした表を作成いたしました。
個々のETFは、各クラスごとに最もよいパフォーマンスが期待できると予想される銘柄として、VTI、VOO、VO、VBを選定しました。
信託報酬ではいずれも低コストで運用ができ、出来高にも十分に高いと言えます。
分配込みリターン10年を見てみますと、VTIとVOOのリターンは他のETFと比較をして高い傾向があります。
また、シャープレシオもVTIとVOOは高く、効率よく安定したリターンを稼げていることが言えます。
この結果から、米国ETFで米国株投資をする場合には、VTIやVOOを選択するのが良いと言えます。
VTIとVOOを比較する場合、市場カバー率はそれぞれほぼ100%、75%なので、私はより広くカバーしているVTIを選択するのが良いと考えます。(好みの問題だと思います。)
小型株のおすすめ活用法
VTI、VOOと比較をして、VOとVBはリターンは僅かに見劣りし、シャープレシオも低い傾向が見れます。
これは大型株と比較をすると小型株では資金的にも安定性が低く、経済の動向に大きく左右されるためではないかと考察できます。
ただ、シャープレシオが低いことは必ずしも悪いことではないと私は考えます。
それはシャープレシオが高いことは、リターンが同じ場合、価格変動が大きいことを意味します。
つまり、下落相場では大きく値下がりし、上昇相場では大きく値上がりすると言えます。
もしも下落のタイミングで買いを入れることができれば、後の大きな値上がりの恩恵を享受することができると言えます。
シャープレシオの考え方については下の記事をご参照ください。
もしもリスク志向の投資家であれば、リターンはそれなりに見込め、シャープレシオが低いVBは良い投資先であると言えます。
実際にコロナショックでは、VBはVTI、VOOと比較をして大きく下落しましたが、このタイミングで買い入れることにより、高いリターンを狙うことができたと言えます。
私は逆張り投資を信条としていますので、コロナショックのタイミングでは大きな買い入れを行いました。
その際の購入のタイミング、逆張りのコツについては下記の記事で紹介いたします。
【参考】VTI、VOO、VO、VBの比較チャート
青:VTI、橙:VOO、緑:VO、黄:VB
まとめ
米国株への投資は近年とても人気です。一方で、一言で米国株投資と言っても様々なETFがあります。
本記事では企業の時価総額の大きさでクラス分けをした際の、大型株、中型株、小型株、そして全米株を対象としたETFをそれぞれ比較しました。
その結果、全米株VTIや大型株VOOといったETFが他の資産と比較をして、効率よく安定的に高いパフォーマンスをもたらしてきたことが明らかとなりました。
過去のデータはあくまでも過去のものですが、将来の方針を決めるうえでは重要な手掛かりを投資家に与えてくれます。
今回の記事が皆さまの良い米国株投資に繋がれば嬉しく思います。
【参考記事】
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