【実録】3年間投資を続けたソーシャルレンディングをやめようと決意した理由
「3年間続けたソーシャルレンディング運用、私はやめます。」
本記事では、私の3年間ソーシャルレンディングの運用成績と経験、そして、そこから足を洗おうと思ったきっかけについて紹介いたします。
ソーシャルレンディングについて少しネガティブなイメージを共有いたしますが、全て3年間で経験した内容に基づいて執筆をしております。
ソーシャルレンディングへの投資を決断する前手として、お役に立てる情報になれば幸いです。
※私はソーシャルレンディングからは撤退しますが、もしも投資をするのであれば、注意すべき事項についても、本記事の最後で解説いたします。
目次
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングの概要
ソーシャルレンディングとは投資家からお金を集めて企業が事業を行い、そこから得た利益の一部を投資家に還元するというシステムです。
似たものにクラウドファンディングがあります。
クラウドファンディングでは、アイデアはあるが資金が不足する企業に対して、出資者が資金を投じることにより、そのアイデアを具現化してもらい、出資者はその商品を受け取ることができるシステムとなります。
クラウドファンディングとソーシャルレンディングのシステムは似ていますが、クラウドファンディングでは出資の対価が商品である一方で、ソーシャルレンディングでは出資の対価がお金であることが大きな違いです。
ソーシャルレディングの投資リスクとリターン
ソーシャルレンディングの投資リターンは、運用会社や商品により異なりますが、年利で3-12%程度となっています。
リターンとしては悪くはないと思いますが、株式や不動産と比較をするとやや劣るリターンで、債券よりは高いリターンが期待できます。
また、株式リターンとは相関しないリターンが見込めるために、ポートフォリオの一部をソーシャルレンディングで運用することにより、安定した投資リターンを得ることも可能であると言えます。
リスクについては、大きなリスクとして、出資金が返金されない危険性(デフォルトリスク)があげられます。
商品によっては不動産などの資産を担保に入れている銘柄もあり、デフォルトリスクはそこまで高くはありませんが、無視できるものではありません。
また、返済の遅延が起こるリスクなどもあり、これにより、運用期間に対するリターンが低下することもあります。
これらのリスクを除くと、基本は貸したお金はしっかりとリターン(利子)を付けて返してもらえるものだと言えます。
(私の経験の中でもおよそ95%のファンドはしっかりと返金が行われています。)
そのため株式や不動産といった資産と比較をすると、マイナスリターンになる確率は低いためにミドルリスクであると、一般的に言われています。
以上より、ソーシャルレンディングはミドルリスクミドルリターンであるというのが通説です。
一方で私の経験から判断すると、残念ながらソーシャルレンディングのリスクは不確実性が高く、ハイリスクミドルリターンであると感じています。その詳細は以下で説明します。
実録:ソーシャルレンディングに3年投資をした結果
私は2018年からソーシャルレンディングへの投資を始めました。
運用会社としては当時最大手であったmaneoと、高リターンが期待できるCrowd Creditを選定し、それぞれ50万円と200万円を入金して運用していました。
それぞれ各社で扱っている商品に5万ー10万円ずつで分散しながら、投資を行っていました。
maneo(マネオ)への投資の感想
maneoについては不正融資をきっかけとした行政処分が下されたことでも有名です。
私は行政処分が下される前から投資を行っていましたが、処分に伴い、投資していた資金の多くが繰り上げ返済されました。
また、処分後は新しいファンドが設定されなくなったこともあり、私が運用していた資金のほとんどは預金口座へと引き上げました。
しかしながら、投資していた資金の一部は満期を迎えて1年以上たった今でも、未返金のままとなっています。
マネオからは月に一回、「返済が遅れています」「借入時の担保の売却を進めていますが、特別な進捗はありません」といった旨のメールが来るだけで、正直未返金となっている資金の返済見込みは高くないと覚悟をしています。
結局投資をしていた50万円のうち45万円は繰り上げ償還を含め返金がされた一方で、5万円分が未返金のままとなっております。
結果として、マネオへの投資リターンは3年間運用して、トータルリターンはマイナス10%となっております。
(個人的な感想となりますが、未返金となった金額が5万円で済んだことは、むしろ幸運であったと感じています。)
マネオへの投資の経験から言えることは、不動産などの担保資産がある場合でも、返金ができない状況が生まれることは全然あり得るということです。
何を担保にしていて、どれほどの価値がそこにあるのかは、具体的には明示されていません。
また担保を売却しなければいけない状況では、急ぎ現金化しなければいけない都合上、買い手に足元を見られてしまい、通常よりも安値で担保を手放さなければならない状況が推測できます。
そのため、借入時に担保があることは、過度に信頼すべきではないと言えます。
Crowd Credit(クラウドクレジット)への投資の感想
クラウドクレジットは新興国を主とした海外への資金提供を行うことが特徴のソーシャルレンディングの運用会社です。
伊藤忠や電通などの大企業と業務提携を行っており、その点で信頼ができる会社であると感じています。
クラウドクレジットは説明会なども頻繁に開催しており、社長が自ら登壇して説明してくれます。
私も一度説明会に参加してみましたが、その時は日本橋近くのオフィスビルの一階で開催されていたこともあり、とてもオープンな雰囲気でした。
説明会で話していたクラウドクレジットの投資コンセプトは、「ビジネスチャンスはあるが、お金がなくて事業ができない地域に出資を行うこと」というものでした。
説明会の他にも、定期的に無料のリリースをメール出しており、投資家とのコミュニケーションの観点でも信頼ができる印象を感じています。
マネオは透明性が低く、そのような情報発信はほとんどなかったので、ソーシャルレンディングは運用会社によって投資家に対する態度は大きく異なることは知っておく必要があります。
クラウドクレジットのファンドは平均すると高リターンのものが多く、高いものでは年利12%のものもあります。
クラウドクレジットに投資をする場合知っておくべきリスクとして、この会社は海外への投資を行うために、特有のリスクとして為替リスクがあることがあげられます。
通貨の変動により、当初は12%のリターンの予定であったが、2%程度のリターンに大きく下落することもありました。
一方で、通貨が逆に動く場合には、当初の予定リターンよりも大幅にリターンが増加し、18%程度の実質リターンを得たこともありました。
長期で運用する場合には為替差損はおおむね平均化されるために、あまり気にするものではないかなと感じています。
デフォルトリスクについては、3年間の投資の中では経験をしていませんが、唯一アフリカの国に投資をしていたファンドは、コロナの影響で現地当局から規制が入り送金ができなくなったこともあり、返済の滞納が起こりました。
このような有事の際にも毎月状況をメールで案内くれる点も、信頼できる会社だと感じている根拠です。
クラウドクレジットへの投資リターンは、3年間の運用でトータルプラス9%となっております。
コロナによる通貨変動の影響で予定リターンより低い結果となっています。
ソーシャルレンディングをやめようと思った理由
マネオへの投資はさておき、クラウドクレジットは個人的には信頼している会社です。
一方で、次にあげる2つの理由から、私はクラウドクレジットからも資金を引き上げる決断をしました。
新しい資産クラスというリスク
ソーシャルレンディングの原型は2005年のイギリスでできたと言われており、そのシステムの歴史はまだまだ浅いです。
一方で、株式投資については1602年に設立した東インド会社が始まりであると言われており、その歴史はソーシャルレンディングと比較をして圧倒的に長いです。
この長い歴史の中で、株式投資のシステムは着実に磨き上げられてきました。
例えば金本位制の撤廃や、株式の値幅制限の設定などに見られるように、株式投資において、不合理なシステムは歴史の中で姿を消したり、改善が行われたりしています。
歴史がシステムを磨き上げる、という話は投資に限ったものではありません。
開発初期の段階では航空機や自動車に乗ることは大きなリスクがあった一方で、長くシステムが活用されることにより、そのシステムが少しずつ改良され、現在では極めて安全にこれらの発明の恩恵を受けることができています。
つまり、株式や債券、不動産などの長く歴史のある資産は、歴史が磨き上げた優れた資産クラスであると言えます。
一方で、まだ歴史の浅いソーシャルレンディングについては、いまだに顕在化していないリスクが秘められている可能性があります。
マネオやSBIソーシャルレンディングの失態に見られるように、ソーシャルレンディングについては不確かな要素が多々あります。
もしかしたら、今見えているリスクが氷山の一角に過ぎない可能性は否定できず、ソーシャルレンディングは、リターンに対してリスクが高すぎるかもしれないと感じています。
以上から、ソーシャルレンディングのリスクについては、現在想定しているよりも高い可能性があり得るという不確実な状況の中で、私はソーシャルレンディングを活用するのはあまり賢明ではないと感じました。
(ちなみに、新しい資産にはリスクがあるという考えから、私は暗号資産(仮想通貨)への投資についても否定的な考えを持っております。)
長期投資家はソーシャルレンディングにこだわる必要がない
私自身は3年間、投資先の一つとしてソーシャルレンディングを活用してきましたが、上記の懸念点がある中で、「ソーシャルレンディングを続けるべきかどうか」迷いました。
そしてタイトルの通り、結論としてソーシャルレンディングをやめようと決断した理由は、ソーシャルレンディングにわざわざこだわる必要がないと感じたためです。
ソーシャルレンディングの魅力の一つとして、「株価に依存しない定期的なリターンを得ることができる」という点があげられます。
そのため、ソーシャルレンディングをポートフォリオに入れることにより、ある程度全体のリスクを低減できるかもしれません。
一方で、そもそも長期投資家にとっては、株式インデックス投資のリスクは想像しているほど高くないことが知られています。
株式投資では一時的な含み損を抱える可能性はありますが、10年、20年、あるいはそれ以上の期間を踏まえた時、歴史的に見ると長期投資のリスクは低く、リターンはプラスになる確率が高いです。
長期投資家は、ソーシャルレンディングに頼らなくても、歴史的な裏付けのある株式や不動産などの資産への投資で、ある程度安定したポートフォリオを構築できます。
そのため、不確実性の高いソーシャルレンディングを活用する必要性は高くないと判断できます。
以上から、私はソーシャルレンディングの活用にこだわる必要はなく、株式・REITなどの透明性が高い優れた資産に長期投資をしていくことが良い選択であると決断しました。
※短期投資家やオルタナティブ運用を重視する方はこの限りではないと思います。
それでもソーシャルレンディングに投資するなら注意すべき点
再掲となりますが、クラウドクレジットに関しては、個人的には信頼ができる企業であると感じています。
一方で、マネオやみんなのクレジットに見られたように、誠実とは言えない企業もあることは無視できません。
それでももし、ソーシャルレンディングを活用するのであれば私は下記2点を留意する必要があると考えます。
複数のソーシャルレンディング会社に分散投資すべき
株式については楽天証券から買おうが、SBI証券から買おうがあまり関係はありませんが、ソーシャルレンディングを活用した投資リターンはその企業に強く依存します。
そのため、ソーシャルレンディングを活用する際に不可欠な要素は、分散投資であると言えます。
これは「一社の中で複数の商品に投資をする」というだけでなく、「複数のソーシャルレンディング会社に投資をしていく必要がある」という意味です。
マネオで見た事例から、一社を通して複数ファンドに投資をしていても、その一社が不適切融資などをしていると、ファンド全体が行政処分の対象となり、資金の更迭や繰り上げ償還などが起こります。
この大きなリスクを防ぐために、一社のソーシャルレンディングに限定して投資をするのではなく、複数社に分散しながら投資を行っていくことをお勧めいたします。
ポートフォリオのコア資産はインデックス銘柄に充てるべき
ソーシャルレンディングは不確実性を含むために、私としてはあくまでもメインポートフォリオに加える形で活用するのが良いと感じます。
コア資産として株式のインデックス投資を行いながら、サテライト資産でソーシャルレンディングを活用することが望ましいのではないでしょうか。
私の経験上、「一つの運用会社の中で複数のファンドを買っているから安心」と考えるべきではないと思います。
また、再掲となりますが、「担保があるファンドだから安心」と考えるべきでもないでしょう。
その担保にどれだけの価値があるかは多くの場合隠されたままです。
以上から、ソーシャルレンディングを活用する際には、しっかりと分散したポートフォリオの構築が不可欠です。
まとめ
3年間投資を行ってきたソーシャルレンディングをやめようと思ったきっかけについて、今回は記事をまとめました。
歴史の浅い資産クラスである以上、ソーシャルレンディングにはいまだに顕在化していないリスクが否定できないというのが、私にとっての最大の懸念点です。
投資においては常にリスクとリターン、両者の確率を推測しながら運用を行うことが必要です。
底が見えない沼があるなら、とりあえず迂回しておこうと考えるのも大切な判断です。
見えないリスクを避けられる代替案があるなら、そちらを活用すればよいだけです。
私にとってそれが株式・REITへの長期投資でした。
最後にこれはブロガーとしてのメッセージとなりますが、ソーシャルレンディングを推奨しており、なおかつ各社のサイトへの誘導リンクも設定されている記事には注意が必要であると思います。
アフィリエイトブロガーの多くは、これらのリンクから人を誘導することによりアフィリエイト収入をもらっています。
全員がそうだとは言えませんが、アフィリエイターの中には、正しい情報発信よりも、リンク先に人を移動させ、自分が利益を得ることを優先して活動している人がいるのも事実です。
都合の良い点だけをピックアップして伝え、都合の悪い点については一切触れない記事も少なくありません。
個人投資家の多くは、労働から得た大切な資金を運用していると思います。
本記事に記載している内容も、個人の経験から書いたものですので、少なからず偏った内容であると思います。
資産運用をする中ではぜひ、いろいろな文献を調べることにより、リスクとリターンを総合的に判断していく必要があると感じます。
本記事が皆さまの良い投資に繋がりますように。
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